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斎藤美奈子さんのコラムその120&前川喜平さんのコラムその81

2022-07-27 05:07:52 | 日記
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず7月20日に掲載された「取り残される国」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「2022年のジェンダーキャップ指数が発表になった。日本は146カ国中116位。昨年の120位からわずかに順位は上がったものの、これは調査対象国が10カ国減った影響で、平等度を示すスコア(1に近いほど平等)は0.656から0.650に下降。実質的には後退である。
 日本の順位だけに目がいきがちだけれど、このランキングは全体を見たほうが学ぶ点が多い。
 まず、お隣の韓国との比較である。韓国は日本と並ぶ男女不平等国で、依然は日本より下位だった。が、19年に108位に順位を上げ、121位に沈んだ日本を抜き去った。以後徐々に水をあけられ、今年の順位は99位。国会議員の比例名簿を男女半々にするクオータ制(04年から導入)を随時強化するなどの政策が効いたのではないかと考えられる。
 上位国に目をやると、6位のルワンダ、7位のニカラグア、8位のナミビアが目を引く。アフリカや中南米の国々は近年特に政治分野でのジェンダー平等政策ういつに積極的に取り組んでおり、トップ10入りの三国は北欧諸国に続く上位の常連国。スコアは0.8超だ。
 G7で最下位どころか世界全体の潮流に取り残されている日本。先の参院選では立憲・共産両党が候補者・当選者ともに女性が五割を超えたものの、与党は相変わらずである。首相はやる気あるのかな。」

 また、7月24日に掲載された「旧統一教会と政治家の癒着」と題された前川さんのコラム。
「安倍元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会と政治家の癒着の実態が次々と明るみに出ている。中でも諸官庁トップの文部科学相と旧統一教会との関係は問題だ。
 末松信介文科相は、旧統一教会にメッセージを送ったことやパーティー券を買ってもらったことを認めながら「何らやましいことは一切ない」と開き直った。諸官庁だという自覚が欠如している。即刻辞任すべきだ。
 旧統一教会の名称の「世界基督統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」への変更の認証申請は、僕が文化庁宗務課長だった1997年以来受理しなかった。
 ところが下村博文氏が文科相だった2015年に突然受理、認証した。このような方針変更は、前例踏襲を常とする官僚だけでは起きない。下村氏は、事前と事後に報告を受けたことは認めたのに、認証は文化部長の判断によるもので、自分は「全く関わっていない」と説明する。そんなことはあり得ない。文化庁は事前に大臣の指示を仰ぎ、支持どおり処理したことを事後に報告したということだ。
 明覚寺や法の華三法行のように、霊感商法が詐欺罪で摘発され、解散を命じられた宗教法人はある。現在も被害者を生んでいる旧統一教会がなぜ摘発されないのか。旧統一教会と癒着した政治家がそれを阻んできたのだとしたら大問題だ。」

 そして、7月27日に掲載された「描かれた宗教2世」と題された斎藤さんのコラム。
「安倍元首相を銃撃した容疑者は母が熱心な世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者で、教団に強い恨みを抱いていたと報道されている。
 宗教2世の問題は小説でも描かれてきた。一昨年蘆田愛菜の主演で映画化された今村夏子『星の子』は、両親が「あやしい宗教」にハマった中学生の物語である。
 もっと強烈なのは村上春樹『1Q84』だ。この小説の主人公のひとり青豆は両親が「証人会」という宗教団体に属し、彼女も禁欲的な生活を強いられ、兄とともに会の一員として布教活動に参加させられていた。それがもとでいじめにあい、自らの境遇に耐えられなくなった彼女は十一歳で親と決別している。
 ところで、スポーツインストラクターとして働いている現在の青豆の裏の顔は暗殺者である。彼女は殺害する相手はDVや性暴力の加害者で、過去の体験との間に一見因果関係はない。しかし暴力をもって暴力を制することを選んだ彼女の人格形成に、子どものころのカルト宗教体験が暗い影を落としていることも否めないのだ。
 創作は創作、現実は現実。両者を安易に混同すべきではないだろう。ただ、二作があぶりだすのは、親が信じるカルト宗教に巻きこまれた子どもは児童虐待の被害者に近く、時には成人後も左右するという現実である。その観点で再読をすすめたい。」

 どれも一読に値する文章です。