恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず4月29日に掲載された「玉ねぎ内閣」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「家にこもっていると、どうもくだらない妄想がわいてきていけない。
あのさあ、あべさんのコロナ対策、迷走してるし、いっそご自宅で静養してもらったほうがよくない? そのまま勇退なさってもいいし。
すると脳内の友人がいった。そしたら指揮をとるのはあそうさんだよ。ふくそうりだからね。
な、なら、あそうさんにも静養してもらう。
友人はいった。そしたら次はすがさんだよ。
じゃ、じゃあすがさんにも静養してもらう。あとはどうなる?
順番だともてぎさんだね。がいむだいじんの。
そのあとは?
そうむだいじんのたかいちさん、次がぼうえいだいじんのこうのさん。
い、いしばさんは?
それはないね。かくりょうじゃないからね。
ああ、麗しきわが玉ねぎ内閣。トップに何があっても、立派な代理が次から次に出てきて妄想を打ち砕いてくれる。
映画「シン・ゴジラ」では、ゴジラの襲来で大河内首相はじめ首脳が全滅。首相臨時代理を務めるのは閣僚でひとり残った里見農林水産大臣だった。英国ジョンソン首相の例もある。三密状態の中にる閣僚の方々が私は心配なのだ。万一集団感染が発生したら。
脳内の友人は言う。大丈夫だよ。政策決めてんのは、どうせかんていのひしょかんとほさかんだから。あかん…。もう寝よ。」
また5月13日に掲載された、「デカメロン現象」と題された斎藤さんのコラム。
「ボッカチオの『デカメロン』が十四世紀のベストの流行から生まれた物語であるのは有名な話である。疫病が蔓延(まんえん)するフィレンツェの街から郊外に逃れた貴族階級の男女十人が一人一話ずつ計百話の物語を語りつないでゆく。冒頭にこそ疫病のまがまがしさが描いかれているものの、あとはほとんど陽気な喜劇だ。
コロナ禍で家にこもらざるを得なくなった人々が、プロアマ問わず工夫を凝らした動画や音楽を配信する。マスクを手作りする。それらを見聞きしながら、ふと思った。そうか、これは現代のデカメロン現象だ。
人は芸術や文化なしには生きられない。どんな状況でも、何かを創造しちゃうのよね。
と、私の認識はそこまでだったのだけれど、ここへ来て目が覚めるような事態が出現した。審議中の法案をめぐって「#検察庁改正案に抗議します」というハッシュタグが五百万を超えたというニュースである。別の名をツイッターデモ。すごいよ、これこそ民主主義下のデカメロン現象だよ。
命がかかった市民の努力を「誤解」のひと言で片づける大臣。不誠実きわまりない答弁。政権の横暴をこれ以上許しちゃいけない。十四世紀のペストは大きな犠牲を出した半面、神の権威を失墜させ、ルネサンスへの道をひらいたといわれる。数は力だ。抗議を続けよう。」
そして5月17日に掲載された、「定年延長の濫用」と題された前川さんのコラム。
「今回の国家公務員法「等」の改正の「毒」は、定年延長と役職定年延長だ。特に曲者(くせもの)は役職定年。局長等は六十歳、事務次官等は六十二歳、検事長等は六十三歳だが、三年まで延長可能。役職定年の時点で政権に忠実な者が選別されるだろう。
安倍政権は人事でも官僚を支配し、隠蔽(いんぺい)、改竄(かいざん)、虚偽答弁も厭(いと)わない従順な下僕にした。定年延長もそのために濫用されてきた。例えば現在の文部科学事務次官。2018年三月官房長で定年延長し、延長後の同年十月事務次官に昇任。20年三月には事務次官で定年延長をした。延長の事由は、人事院規制の「業務の性質上担当者の交替が業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」。大型研究の主要な担当者で、退職すると研究が著しく遅れるような場合だというが、官房長や事務次官にそんな一身専属的な業務はない。本来適用できない条項を適用している。
安倍政権では、こうした恣意的な定年延長が常態化した。その延長線上に今回の検察庁改正案がある。現行の人事院規則による定年延長すら濫用されてきた。「内閣が定める事由」で行う検事長等の役職定年延長が濫用されることは目に見えている。黒川氏を25年まで検事総長に据え置くことだって可能になる。黒川氏が辞めても「第二・第三の黒川」が作られる。そうして日本は巨悪が眠る国になるだろう。」
どの文章も一読に値する文章だと思います。特に勉強になったのは、最後に載せた前川さんの文章で、恣意的な人事を安倍政権がこれまで既にしてきていたことを初めて知りました。検事総長というのは三権分立の司法をつかさどるトップの人で、国会のトップを走る安倍政権がそれを選べるようになれば、三権分立は崩れ、民主主義の崩壊につながります。皆さんも反対の声を上げて行きましょう!!
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
→FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135)
まず4月29日に掲載された「玉ねぎ内閣」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「家にこもっていると、どうもくだらない妄想がわいてきていけない。
あのさあ、あべさんのコロナ対策、迷走してるし、いっそご自宅で静養してもらったほうがよくない? そのまま勇退なさってもいいし。
すると脳内の友人がいった。そしたら指揮をとるのはあそうさんだよ。ふくそうりだからね。
な、なら、あそうさんにも静養してもらう。
友人はいった。そしたら次はすがさんだよ。
じゃ、じゃあすがさんにも静養してもらう。あとはどうなる?
順番だともてぎさんだね。がいむだいじんの。
そのあとは?
そうむだいじんのたかいちさん、次がぼうえいだいじんのこうのさん。
い、いしばさんは?
それはないね。かくりょうじゃないからね。
ああ、麗しきわが玉ねぎ内閣。トップに何があっても、立派な代理が次から次に出てきて妄想を打ち砕いてくれる。
映画「シン・ゴジラ」では、ゴジラの襲来で大河内首相はじめ首脳が全滅。首相臨時代理を務めるのは閣僚でひとり残った里見農林水産大臣だった。英国ジョンソン首相の例もある。三密状態の中にる閣僚の方々が私は心配なのだ。万一集団感染が発生したら。
脳内の友人は言う。大丈夫だよ。政策決めてんのは、どうせかんていのひしょかんとほさかんだから。あかん…。もう寝よ。」
また5月13日に掲載された、「デカメロン現象」と題された斎藤さんのコラム。
「ボッカチオの『デカメロン』が十四世紀のベストの流行から生まれた物語であるのは有名な話である。疫病が蔓延(まんえん)するフィレンツェの街から郊外に逃れた貴族階級の男女十人が一人一話ずつ計百話の物語を語りつないでゆく。冒頭にこそ疫病のまがまがしさが描いかれているものの、あとはほとんど陽気な喜劇だ。
コロナ禍で家にこもらざるを得なくなった人々が、プロアマ問わず工夫を凝らした動画や音楽を配信する。マスクを手作りする。それらを見聞きしながら、ふと思った。そうか、これは現代のデカメロン現象だ。
人は芸術や文化なしには生きられない。どんな状況でも、何かを創造しちゃうのよね。
と、私の認識はそこまでだったのだけれど、ここへ来て目が覚めるような事態が出現した。審議中の法案をめぐって「#検察庁改正案に抗議します」というハッシュタグが五百万を超えたというニュースである。別の名をツイッターデモ。すごいよ、これこそ民主主義下のデカメロン現象だよ。
命がかかった市民の努力を「誤解」のひと言で片づける大臣。不誠実きわまりない答弁。政権の横暴をこれ以上許しちゃいけない。十四世紀のペストは大きな犠牲を出した半面、神の権威を失墜させ、ルネサンスへの道をひらいたといわれる。数は力だ。抗議を続けよう。」
そして5月17日に掲載された、「定年延長の濫用」と題された前川さんのコラム。
「今回の国家公務員法「等」の改正の「毒」は、定年延長と役職定年延長だ。特に曲者(くせもの)は役職定年。局長等は六十歳、事務次官等は六十二歳、検事長等は六十三歳だが、三年まで延長可能。役職定年の時点で政権に忠実な者が選別されるだろう。
安倍政権は人事でも官僚を支配し、隠蔽(いんぺい)、改竄(かいざん)、虚偽答弁も厭(いと)わない従順な下僕にした。定年延長もそのために濫用されてきた。例えば現在の文部科学事務次官。2018年三月官房長で定年延長し、延長後の同年十月事務次官に昇任。20年三月には事務次官で定年延長をした。延長の事由は、人事院規制の「業務の性質上担当者の交替が業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるとき」。大型研究の主要な担当者で、退職すると研究が著しく遅れるような場合だというが、官房長や事務次官にそんな一身専属的な業務はない。本来適用できない条項を適用している。
安倍政権では、こうした恣意的な定年延長が常態化した。その延長線上に今回の検察庁改正案がある。現行の人事院規則による定年延長すら濫用されてきた。「内閣が定める事由」で行う検事長等の役職定年延長が濫用されることは目に見えている。黒川氏を25年まで検事総長に据え置くことだって可能になる。黒川氏が辞めても「第二・第三の黒川」が作られる。そうして日本は巨悪が眠る国になるだろう。」
どの文章も一読に値する文章だと思います。特に勉強になったのは、最後に載せた前川さんの文章で、恣意的な人事を安倍政権がこれまで既にしてきていたことを初めて知りました。検事総長というのは三権分立の司法をつかさどるトップの人で、国会のトップを走る安倍政権がそれを選べるようになれば、三権分立は崩れ、民主主義の崩壊につながります。皆さんも反対の声を上げて行きましょう!!
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