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スコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』その4

2017-08-05 09:54:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 ジミー、コノリーの妻の部屋に行き、「マリアン、亭主に恥をかかせるなよ」「ちょっと具合が悪いの。悪気はないわ」顔をなでて「熱はないようだな。ジョンは運のいい男だ」。ジミーが去り、どっと疲れるマリアン。
 “ヴァルハラ号”と書かれた船。ジミー「無事アイルランドへ。頼むぞ、マッキンタイア」。
 “連邦検事事務所”の看板。コノリー「プロ野球のチケットが2枚ありますが」「いらない。起訴案件を持ってきたんじゃないのか? 起訴案件を持って来い。なぜバルジャーを逮捕しない?」「情報屋なんです」「何でもやってる。調べ始めると証拠が消える。別の情報屋との情報と重複してることもある。そろそろ足を洗わせたら?」。
 コノリー、ジミーに「奴に圧力を。州議員の兄さんを救うためだ」「ダメだ。ワイシャックは君のことも調べてる。もう二度と来るな」。(中略)
 「漁船がDEA(麻薬取締局)に捕らえられ、大量の武器を運んでいたことが明らかになった」というニュース。ジミー、怒る。
 コノリーの上司「バルジャーに騙されていた。情報屋の身分に隠れて、勝手放題。しかしバルジャーを逮捕することで、マフィア訴訟に傷をつけることはできない。捜査官の証拠が必要だ」。
 コノリー「バルジャーのおかげだ」。反論するモリス。「ワイシャックは皆を血祭にするつもりだ。もう逃げられない。内偵をされてる」「マフィアの撲滅は正しいことだ」「自ら自分の墓を掘っている」。
 コノリー、雨の中帰宅。ドアには鍵。「マリアン! マリアン!」。
 コノリーの上司「マッキンタイアが姿を消した。バルジャーの悪事を証言する密告者は皆消える。バルジャーの逮捕に向けて、すべての犯罪者を逮捕し、一人でも証言を得られればいい」。
 ジミー、マッキンタイアに「お前は子供の頃から意気地なしだった。昔からの仲間だ。しかし裏切った」。ジミー、椅子に縛られ、暴行を受けたマッキンタイアを絞殺。「歯は全部抜き、デボラの横に埋めとけ」。
 「FBIのジョン・モリスです」「ボストン・グローブ紙のオニールとレノアです」「告解室にいるみたいだな。あくまでオフレコで」。
 “バルジャー、1975年からFBIに密告”の一面記事。
 ジミー「何なんだ、これ? デタラメだ。これからは俺に関するデタラメを山ほど読むだろう。モリスにどれだけのカネを渡してた?」
 「スポーツくじとナンバーズ賭博を仕切り、そのカネを高利貸しとロンダリングに回していた。デカイ証拠がある。写真とテープだ」。
 「複数の男たちが、ヤクや殺しの証言をしている」。
 ジミー「すべての証拠を握られて、逃げられない。1週間後に状況を知らせてくれ」コノリー「これ以上は分からない」。
 無人の教会にジミー。
 フレミはバルジャーとともに行動した年月を振り返り、「彼のことをどう思う?」と聞かれ、「根っからの犯罪者だ」と答える。
 無人の教会を去るジミー。
 ジミー「ビリー、しばらく会えなくなる。体に気をつけろ。元気でな」。
 “1995年、ジェームズ・“ホワイティ”バルジャーはボストンを去り、その後世界各地で目撃された”、“バルジャーの情報を提供した見返りにウィークスは刑を軽減され、5年服役”、“司法取引により刑を軽減されたマルトラーノは12年服役した”、“マルトラーノとウィークスは現在自由の身である”、“同僚コノリーに対する証言と捜査への協力により、ジョン・モリスは免責を認められた”、“スティーヴン・フレミは10件の殺人を認め、終身刑に。現在非公表の刑務所で服役中”、“ビリー・バルジャーは議員を辞め、マサチューセッツ大学の総長に。だが兄と連絡を取ったことが知れ、総長の座を辞職させられた”、“ジョン・コノリーはバルジャーに対する証言を拒否。キャラハン殺害に関し、第二級謀殺で有罪。40年の刑を宣告された”の字幕。
 “2011年6月22日、12年間の“最重要指名手配”の後、匿名の情報がバルジャー逮捕に結びついた”、“ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー逮捕。ボストンでは誰もが知る犯罪者。大胆な行動に出たのか、昨夜サンタモニカでバルジャーはボストンに戻され、裁判にかけられます”、“バルジャーは少なくとも11件の殺人で終身刑2回と5年の刑を宣告された”の字幕。

 ジョニー・デップの演技が光る映画でした。

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スコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』その3

2017-08-04 10:50:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 「コノリーの干渉を遠ざけた。しかしフロリダの商売は悪い方へ変化した」。
 「“ワールド・ハイアライ”の新オーナーでありCEOであるロジャー・ウィーラーです」「ジョン・キャラハンのおかげです」。
 フレミ「ウィーラーのせいで公認会計士に俺の帳簿を調べさせている。じきにカネの不足分がバレる」ジミー「会社を売れ」「本人に売る気がない」「“未亡人”なら売る可能性がある。ブライアンにやってもらおう」「俺たちとハイアライのことは知られている」「知っているのは俺たちだけだ。ブライアン、鞄を置け。カネはやる。殺しをしないための2万ドルだ」。ブライアン、鞄を持って去る。ジミー「今後はカネが詰まった鞄を人前で渡すな」。
 ウィーラー、マルトラーノに射殺される。
 コノリー「ハイアライの件にバルジャーが関与?」。盗聴テープを聞くFBI。
 コノリー「アンジェロが言うには、バルジャーとフレミが人を殺したと」ジミー「マフィアの噂話だ」「だがマグワイヤの質問攻めが待ってる」「テープを隠せばいい」「“コーサ・ノストラ”を殲滅させるんだぞ」「俺に任せておけ」。
 コノリー、上司に「バルジャーはあくまで情報提供者です」。
 「リッツォとマンジーニがバルジャーがウィーラーを殺したと」。
 「彼はブライアン・ハロランだ」ブライアン「身の安全を保障してほしい」コノリー「ふざけるな」「バルジャーが企てた。(中略)口封じに2万ドルもらった。保護してくれないと殺される。マルトラーノがやったとキャラハンが言っていた」。
 コノリー「一言も信じられない。ただのヤク中だ。ウソ発見器も拒否された。放り出せばいい」。
 聖パトリック祭。コノリー、やっとジミーを見つける。話を聞いたジミーは「お前はなぜマルトラーノがやったと知ってるんだ?」。話し合う2人。
 ジミー、ブライアンを射殺。
 コノリーの上司「ハロランが殺された。なぜあのまま帰らせた?」コノリー「ここはホテルじゃない。ウソ発見器も拒否され、噂話の域を出ない話ばかりで、証拠がなかった」。他のFBI捜査官「ついに証拠が出ました。宝の山です。アンジェロがノミ行為や高利貸し、放火、ポン引き、売春婦の商売をしていると語っているテープが出てきました」「コノリーは“マフィア・ハンター”、“FBIの星”、“ボストンの暗黒街を浄化した男”と呼ばれた」。
 車ででかけるコノリー。
 人でにぎわう浜辺。マルトラーノに「1982年の春、マイアミにいたか?」「いた」「バルジャーもか?」「ああ」「いた理由は?」「アンジェロの逮捕を祝い、“協定”をより強化するためだ。ある奴を始末するのに、コノリーがいると便利だった」。
 ディスコ。「その夜、マイアミでキャラハンを?」「コノリーも知っていた」。
 自宅で夕食を食べるコノリー。妻「新しいスーツ、金時計。姿勢や身のこなしも変わったわね。ジミーの影響ね」。
 “1985”の字幕。教会で葬儀が行われているのを見下すジミー。
 ジミー「静かだな」「ジミーは息子も妻も失い、絶望的だった。そんな時、IRAのジョー・カーヒルと出会った」。ジミー「大量の武器を与えよう」。
 「ジェリー、退職か?」「政府の仕事は飽きた。弁護士事務所でも作ろうと思ってる。あれが新しい検事のフレッド・ワイシャックだ。ニュージャージーから故郷を救うべくやってきた」。
 “ボストン警察南ボストン署”。ジミー「自分の女の娘に手を出すなんて」フレミ「連れ子だ」「売春婦だろ? 救いようのないヤク中だ」。警察を出て車に乗ってきた女に「デボラ、留置場で何かしゃべったか?」「いいえ、何も」。
 部屋を案内されて、デボラ「すごい、最高じゃん。こんなに優しい人初めて」。ジミー、デボラを絞殺。ジミー、フレミに「1時間後にコノリーの家で食事だ。後始末を頼む」。
 「フレミ、バルジャーが人を殺すところを見たことは?」。沈黙するフレミ。
 コノリー家のテラスで会食するバルジャー兄弟の夫婦たち。コノリーの妻は落ち着きがなく、「家の中に奴らがいると思うと」。コノリー「俺たちは固い絆で結ばれている。俺の昇進、新しい家と車も彼らのおかげだ」。
 室内に場所を移して、ジミー「スティーヴン、今夜は静かだな」「フロリダの刑事がキャラハンの件で何度も連絡してくる」「対処しろ。モリス、あんたとじっくり話をしないと。この肉の味付けは?」「家族の秘密だよ」「秘密?」「ただ塩と醤油を少しかけただけだ」「俺は秘密をばらして、刑務所とアルカトラズに9年いた。あんたなら土の下に行く」。表情を硬くするモリス。ジミー「冗談だよ」と笑いだし、皆とまた乾杯する。(また明日へ続きます……)

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スコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』その2

2017-08-03 10:27:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
ジミーの運転する車をフリン巡査が停める。「アンジェロがよろしくと言ってた。駐車場での一件で、今後あのようなことがあったら容赦しないと」「お前は同じアイルランド系なのに裏切り者だな」「クソ野郎、ふざけんな」「お前こそ」。
 “トリプル・オー”という店。「フリンの野郎、ろくでなしだ。ガキの頃から」ジミー「頭を冷やせ。トミー」。マルトラーノはジミーの話を聞く。
 FBI「あなたはボストンで恐れられた“ウィンターヒルの処刑人”として有名でしたか?」マルトラーノ「ああ」「20人ぐらいを殺害?」「その通り」「対立が激化した理由は?」「単純だ。縄張り(シマ)だ。アンジェロは高利貸し、自販機、組織犯罪を行なっていた。報復だったんだ」。バイクの男、車内の男を射殺して去る。
 ジミー「トミー、どうした?」「“スーツケース”を探してる」「奴が何を?」「ミッキーをハメた。待っててくれ。防弾チョッキを持ってくる」。
 トミー「ジミー、トリプル・オーでは絡んで悪かった。酔っていたんだ」「いいさ。ただ酒には気をつけろ。言っちゃいけないことも言ってしまう」。ジミー、トミーと握手。マルトラーノ、トミーの頭を撃つ。ジミー「防弾チョッキが役に立ったな、クソ野郎」「トミーがミッキーをアンジェロに売ったとジミーは思った。遺体を埋めたのはジミーの好きな場所、ネポンセット川の橋の下だ。あまりにも多く埋めたので“バルジャー墓地”とも呼ばれてた。なぜかFBIはジミーを無視した。最初奴はケチな地元のギャングだった。非情だがただのチンピラだった。それがたちまち大物に。FBIが好きにさせたからだ」。
 ジミーにコノリーから電話がある。
 FBI本部。コノリー「ボストン支局最大のチャンスです」。(中略)」上司「考えさせてほしい」「“ホワイティ”・バルジャーは前科者だ。それも保護観察付きの仮釈放の最中だ。利用するとFBIの規則を破ることになる」コノリー「彼の名前は“ジミー”だ。“ホワイティ”じゃない」「情報の確かさは?」「俺たちは絆で結ばれている。今月もマフィアの殺人が4件もあって、どれも立件できていない」上司「モリス、どう思う?」「失うものより得るものの方が大きい。免責を与えて情報屋に」。
 ジミー、コノリーに「これはタレコミでも密告でもない。ビジネスだ」コノリー「よし、連絡係だ。ただ殺人だけはよせ」。
 ジミー、スティーヴン・フレミに「俺たちは長い付き合いだ。実はFBIと手を組むことになった。ノースエンドのイタ公どもをやっつけるためだ」「分かった」「特にジョン・コノリーを信用しろ。サラシーの仲間だ」。
 ジミー帰宅。リンジー「あの子、熱があるの。風邪だと思う」「ちゃんと医者に診せろ」。
 会食をするバルジャー兄弟の夫婦とコノリーの夫婦。
 クリスマスツリーを飾るビリー。「ジミー、電話だ」。
 病院。ジミー「ダグラスの部屋は?」看護婦「集中治療室です」リンジー「あの子、ライ症候群なんですって。私が4時間おきに与えたアスピリンが症状を悪化させてみたい」「家に連れて帰る」「生命維持装置でやっと生きているのよ。もう治らない。私がこの手でプラグを抜くわ」「俺の息子だ。冷酷な女め」「ろくでなし!」。リンジー去る。ジミーは机と椅子を蹴っ飛ばす。
 「あなたは組織犯罪と殺人の罪で有罪です。死刑を免れるための司法取引です」ナレーション「息子が死んだあとのジミーは人が変わった。ボストンの“犯罪王”と呼ばれるようになった」。
 “1981”の字幕。「ヤクは当然。あらゆる不正な商売、競馬、ショバ代。よそのシマも荒らすようにと、何でもやった」。“1400万ドル当選”の新聞記事。「大勢に賄賂をばらまき、地元の巡査やFBIにも受け取らせた。マイアミの“ハイアライ”では、ジョン・キャラハンとブライアン・ハロランと手を組んだ。今や奴らはプロの“犯罪コンサルタント”だった」。
 コノリーの上司「アンジェロ逮捕への情報が一つもない。連邦検事に渡す証拠を集めろ。2週間だけやる。それでダメならバルジャーを切る」。
 ジミー「FBIはアンジェロの本部の場所も知らないのか?」「奴らは動き回ってる。今日どこにいるか知りたい。盗聴器を仕掛けるんだ」「なら飲んでほしい条件が一つある。奴らの自販機を公営住宅地区から撤去しろ。そうすれば明朝クリスマスプレゼントをやる」。
 コノリー、翌朝車に乗ると、キャビネットの中に封筒が入っている。
 コノリー、上司に写真を見せる。「アンジェロ・ファミリーの本部の写真だ。一時間前にノースエンドの床屋で確認した。プリンス通り98番地の真向かいだ。15分の間にマイキー・アンジェロ、ボビー・カローサ、ヴィンセント・フェラーラが中へ入っていった。バルジャーだからこその情報だ」。(また明日へ続きます……)

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スコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』その1

2017-08-02 10:49:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、スコット・クーパー監督・共同製作の’15年作品『ブラック・スキャンダル』を見ました。
 回るカセットテープ。取調室。「始める前にはっきりさせておく。俺は密告者じゃない。いいな、まずそれを録音しろ」「よろしい。ウィークス。組織犯罪、恐喝、誘拐、殺人の共犯、どれも重罪だ。FBIと取引しろ。南ボストンで最も悪名高きギャングの腹心の部下から政府の証人になるんだ。“ウィンターヒル”ギャングとFBIジョン・コノリー、そして君の元ボスで現在逃亡中のジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーについて」。
 “1975年”“南ボストン”の字幕。「ジミーのダチだ」「ダメだ。入れられねえ」「お前は?」「用心棒だ。先週、あんたと仲間がカウンターに小便をした。あそこのブラニガンの店ならホールの真ん中でクソしても大丈夫だぞ」「分かったよ」。用心棒に襲いかかる男たち。
 バー。「男に悪口を言われ、女は怒っていた。ポケットにフォークをしのばせ、コナーズの店で皆がいる中、男の目玉をくりぬいた。コナーズは目をそらした。情けねえ」「昔デヌッチに袋叩きにあったこともある」ジミー(ジョニー・デップ)「マルトラーノ、指を舐めながらナッツを食べるのはよせ。皆も食べるんだ」「済まない」。男がやって来て「表でもめごとが」。外では用心棒が数人の男から暴行を受けている。ジミー「チャーリー、やめろ」用心棒にマルトラーノ「ジミーの従妹の亭主だ」「知るわけねえ」「今後気をつけな」。
 翌日、路上に立つ傷だらけの顔をした用心棒。ジミーが車でやって来て「マクティアナン、さっさと乗って運転しろ」後部座席でジミーの隣に座る男「カルメロはどこに?」草むらの中に車を停めて、ジミーは隣の男ケヴィンを殴り出す。マクティアナンも殴る。半死半生となり、車から出される男。ジミー「そいつはアンジュロの一派だ」。
 「俺はウィンターヒルに入り、ジミーの部下になった。やったのは細かいこと、恐喝やカネの受け取り、自販機の売上チェック。ミッキーの“聞き役”も」。車内のジミー「コディ夫人だ。停めろ」。ジミー「コディさん、10年ぶりですね」「いつアルカトラズから出てきたの?」マクティアナン「南地区(サウシー)の誰もがジミーを好きだった。ジョン・コノリーは特にバルジャー兄弟を好きだった。同じ公営住宅で育ち、弟のビルは親友、兄ジミーは尊敬していた」。コディ夫人の荷物を持ってやるジミー。
 FBI。「イタリア・マフィアを一掃することになった。担当はジョン・コノリーだ、」マクティアナン「サウシーの子は“悪党と警官ごっこ”をして育ち、それは大人になっても続いていた。悪党と警官の区別がつかない」。ジミー、ビルに「やあ、上院議員。奥方のマリアンはどうしてる?」。
 コノリーの同僚のモリス「兄のジミーは? このところサウシーでの抗争が多い。60人から70人が殺されている。ジミーと“ウィンターヒル”は生き残っている。何か秘策でもあるのか?」コノリー「ジミーとスティーヴン・フレミはマフィアのナンバーズ賭博と自販機を狙っている。当然アンジュロ側は激怒している。聞け、ビリー。お前の兄貴はとても危険な存在だ。誰だって友達が必要だ。協力してくれと伝えてくれ」。
 帰宅するコノリー。
 帰宅するジミー。「ただいま、母さん」「仕事は疲れたかい? 56ドルの貸しがある。トランプをやろう」「今度はズルなしだよ」。
 ビリー「またジミーの負けだ。バーク夫人が死んで数週間が経つ。ジミー、ジョン・コノリーを覚えているか?」。
 コノリー「ジェンナーロ・アンジェロ。告発記録なし」。遺体の写真を見る。「証人はいない」。電話がかかって来て「すぐ行く」。
 ジミー「久しぶりだな。お前がFBIとは。2分だけ話を聞こう」コノリー「ジェンナーロ・アンジェロがあんたを殺す気だ。密告じゃない。“協定”を結ぼう。助け合うんだ。サウシーに手をつけるつもりはない。狙いはノースエンドのイタ公どもだ」ジミー「2分経った」と言って去る。
 ジミー帰宅。「リンジー。俺の“ミス・アメリカ”。今日もまたきれいだな。息子は?」「もう寝たわ」「起こしてくる」。息子の寝顔を見るジミー。
 翌朝。ジミー、息子に「お前に質問だ。ジュースの残りをどうするつもりだ?」「飲まない」「ダメだ。ビタミンCがたっぷりだし、ママが作ったスペシャルな飲物だぞ」。息子、ジュースを飲む。「よし、昨日の学校でのことを話せ」「ティミーはいつも意地悪をする。後ろを向いている間に色鉛筆を取ったので、その場で殴った」「よし、だが教訓がある。過ちを犯したら以後は注意しろ。皆の前でするな。周囲に気をつけろ」「誰も見ていない時にだね」。(明日へ続きます……)
 
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町山智浩『最も危険なアメリカ映画 「國民の創生」から「バック・トゥ・ザ・フューチャー」まで』

2017-08-01 05:59:00 | ノンジャンル
 町山智浩さんの ‘16年作品『最も危険なアメリカ映画 「國民の創生」から「バック・トゥ・ザ・フューチャー」まで』を読みました。
 「あとがき」から引用させていただくと、
「D・W・グリフィス監督の『國民の創生』から百一年目の2016年、同じ原題を持つ新作映画『バース・オブ・ネイション』が公開された。
 南北戦争の約三十年前、1831年に起こった黒人奴隷の反乱を描いており、アフリカ系の俳優ネイト・パーカーが企画・製作・脚本、および反乱のリーダー、ナット・ターナーを演じている。
 南部バージニア州の綿花農園で黒人奴隷の息子として生まれたナットは、幼い頃から聡明で、農園主のターナー家から、聖書の勉強を許された。当時、南部の白人たちは黒人には天国に行く魂がないと考えていたので、奴隷にはキリスト教を教えなかったが、ナットは神の教えを仲間に伝え始めた。それは起爆剤だった。聖書にはこう書かれているからだ。人は皆、神の子であって、「奴隷も自由人もない」と。
 ナットは牧師として奴隷たちに洗礼を施し、神の下で結婚もした。ターナー家は寛容だった。若き当主サミュエルはナットと幼馴染みで、彼を友人として扱った。個人的には奴隷制度廃止論者だったが、南部では何もできなかった。
 ナットは理不尽な虐待の数々を体験する。黒人女性は来客への接待として夜伽(よとぎ)をさせられる。いっそ飢えて死んだほうがましだと断食を続ける奴隷の歯をノミで割って無理に流動食を流し込む。抗議したナット自身も鞭打たれて死にかける。
 そして彼は天啓を受ける。自分は奴隷を解放するために神に選ばれた者だと。
 ナットは密かに奴隷を組織化し、8月21日の晩、静かに反乱を始めた。寝室で眠っている白人たちをひとりずつ、音を立てぬよう、銃でなくナイフや斧や鈍器で殺害していった。その数は女性や子どもも含んで五十人を超えた。
 反乱は白人民兵によって二日後に鎮圧された。ターナーは森に逃げ込んだが10月30日に逮捕された。絞首刑の後、死体は皮を剥がれ、首を切られ、体を八つ裂きにされた。白人たちは怒りと恐れから、反乱に加わった者だけでなく、まったく無関係な奴隷たち百人以上を殺した。これ以降、白人たちはけっして奴隷たちに聖書を教えなくなった。
『バース・オブ・ネイション』は、もちろんD・W・グリフィスの「名作」の裏返しとして作られた。「“The Birth of a Nation”という言葉は『國民の創生』によって血塗られている」サンダンス映画祭の記者会見で、ネイト・パーカーはこのタイトルを使った理由を説明している。「だが、僕が『バース・オブ・ネイション』を作ったことで、今後、『國民の創生』はナット・ターナーと結びつけられることになったんだ」
 映画学校では今でも娯楽映画のストーリーテリングの原点として『國民の創生』が見せられる。しかし、よほどの白人至上主義者でない限り、それを観るのは苦痛だ。特にアフリカ系にとっては。技術的に優れているというだけでは我慢できないものがある。
 ネイト・パーカーは、近年のアカデミー賞の候補者が白人ばかりになっている現状の根底には『國民の創生』があると考えている。「差別的な事態が起こるたびに我々は雑草を抜くようにそれに対処する。腕をまくって土を掘って根っこから抜こうとする。だが問題はそのはるか奥深くにある。ハリウッドの娯楽映画はグリフィスの『國民の創生』の上に築かれた。『國民の創生』は史上初めてホワイトハウスで上映され、初めて国民的なヒット作になった映画だ。だが、そのテーマは白人の優位性だ」
 『國民の創生』の大ヒットは全米に四百万人ものKKK会員を生み出し、黒人へのリンチが、その後、何十年も続いた。
 「それが、この国で起こったんだよ。奴隷制度は終わったのに」
 それが『國民の創生』の公開から百一年目の今も続いている。数年前から全米で警察官が無抵抗の黒人を殺害する現場がスマートフォンで次々と撮影され、警官は誰も裁かれず、抗議のデモが続いている。デモだけでなく、黒人も銃を取って警官に報復し始めた。ニューヨークで、テキサスで、ニューオリンズで。その抗争が続く最中に、アメリカで最初に白人に逆襲したナット・ターナーの映画が公開されたのは意義深い。
 まだ三十六歳で、映画史に挑戦するこの意欲作を実現させたネイト・パーカーは、「ハリウッドに新たな天才登場!」と世界に注目された。ところが、全米公開前、彼が大学生の頃、女学生を友人ふたりとレイプしたと訴えられた事実が発覚した。裁判でパーカーは同意の上とされて無罪になったが、原告の女性は2012年に麻薬中毒治療施設で睡眠薬自殺した。彼女は白人だった。ともに訴えた友人は『バース・オブ・ネイション』の共同脚本にクレジットされているが、映画には、ナット・ターナーの妻が白人たちにレイプされる描写がある。この件をどう捉えるべきなのか、アメリカ人は困惑している。アメリカの闇はいったいどこまで深いのか。(後略)」
 面白くて、あっという間に読める本です。映画好きではない方にもオススメです。

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