エル・シド [DVD] | |
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母がチャールトンヘストンの大ファンなので、エル・シドの録画を見た。
地中海を越えて侵略してくるムーア人(イスラム教徒)を撃退して、スペインを守るというストーリーなのであるが、この主人公エル・シドは誰の調略にものらず、筋を通す。スペイン国内に領地をもつムーア人とも親交を持ち、それぞれの立場を尊重し、理不尽な要求をするアルフォンソ王にも正論をかざして進言する。そんなエルシドを人々は慕い、追放されても、同行する仲間は増えていくといううれしくなるような展開。
これは1960年前半のハリウッド映画である。当時はまだ現在のような中東情勢ではない。そのせいなのか、侵略については、堂々と立ち向かうのだけれども、基本はそれぞれの民族を尊重して、平和に解決することがのぞましいというメッセージを、エル・シドに言わせている。
現在の中東や紛争地域に、相手を尊重して共存することを求めても、いろいろな国や部族、宗教が複雑にからんでいるので、難しいのはわかっている。
イスラム国という計り知れないテロ組織の存在は、世界中の脅威となり、人々の平和が失われようとしているのはつらいことである。テロリストも生まれたときは純真無垢な赤ん坊である。どういういきさつで、人を殺すことになったのか?何がそうさせたのか?対話をくりかえして、解決することはできないのか?ぼやくしかない私。
先日は、悲惨な戦地を取材する日本人ジャーナリストが殺されたというニュースが流れた。日本に住むわれわれは、どうすることもできなかった。紛争地帯に足を踏み入れることがそもそも良くないという冷たい意見もあるが、苦しんでいる人のためにできることをしたいという気持ちを抑えることができない方々のことを悪く言うことはやめてもらいたいと願っている。
どの人も、エル・シドの心を持っていると信じたい。
映画の中の世界なのだけども、やっぱり われわれが理想とするものは平和であることには間違いないのだから。