日本の「不戦条項」撤廃に警戒
日本の参議院憲法審査会は16日、憲法改正に関する具体的議論を9カ月ぶりに再開した。各党が国会で改憲について正式に議論するのは、今年7月の参院選で「改憲派」が十分な議席を得て以来初めてだ。野党とは大きな溝があるが、現政権は「平和憲法」改正の野心に尽力し続けており、遮るのは難しい。(人民日報「鐘声」国際論評)
安倍政権は国会で改憲に尽力すると同時に、「違憲」と頻繁に指摘される新安保法を徐々に推し進めている。今月、日米共同統合演習「キーン・ソード」の一部として、日米は新安保法の内容を反映した合同演習を初めて実施した。その後、日本政府は南スーダンへ派遣する自衛隊に「駆け付け警護」任務を付与した。日本社会各界はこれらに強く反対し、新安保法もあからさまな「戦争法」と指摘されている。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。日本の「平和憲法」の核心的な不戦原則は、安倍政権が発足以来抜け出そうとしてきた「束縛」だ。安倍氏の努力の下、日本は集団的自衛権の行使を事実上、すでに容認した。自衛隊が戦争に自ら参加するのは時間の問題だといえる。
だがとぼけて白黒を逆さまにすることに慣れた安倍政権はこれでは満足せず、堂々と「戦争」のできる「普通の国」になることを求めている。これは保守化傾向を加速する安倍政権にとって必要不可欠な一環だ。戦後歴代内閣が推し進めてきた内外政策を否定し、修正し、第2次大戦に対する反省と謝罪を覆し、釣魚島(日本名・尖閣諸島)や南中国海の情勢を緊張させ、中国と周辺国との関係に水を差し続ける。国内外での様々な動きに、国際社会は日本に対して「第2次大戦後の平和的発展路線を変更するのではないか」との最も深刻な懸念を抱いている。
「子どもや若者を戦場に送るな」「新安保法の強行可決は歴史的暴挙」「憲法改正は日本の退化」。昨年9月に安倍政権が新安保法を強行可決して以来、日本各地で新安保法反対の民衆集会が300回以上行われ、憤った民衆はスローガンを叫び、新安保法の廃止を強く要求してきた。
改憲を鼓吹する勢力は日本社会を確かに不安にさせている。だが被害を受けるのは日本国民だけではないだろう。新安保法は自衛隊が世界的範囲で活動し、米国など同盟国の軍事活動を支援するとともに、先制的軍事行動を取ることも認めている。これらはアジア太平洋地域の安全保障情勢に不確定要素を増やす。改憲を図り、新安保法を推し進め、日本の外交、軍事、海外での行動に対する最後の制約である「不戦条項」の完全な撤廃を図り、さらには第2次大戦後の平和体制と徹底的に決別する。歴史を翻ってみると、日本政府の行為はすでに警鐘を鳴らしている。
70年後、「平和憲法」の重要性が無視されてはならない。これは日本国民を安心させることであり、かつて日本軍に踏みにじられた国を落ち着かせるものであり、東アジアの平和の潜在的脅威を取り除く重要な一環でもある。
地域と世界の平和・安定維持に真に積極的な建設的役割を発揮することは国際社会の各構成国の務めであり責任だ。日本は歴史の教訓をしっかりと汲み取り、平和的発展の道を歩むとの約束を順守し、軍事・安全保障政策で慎重に事を進め、近隣国との相互信頼強化に資する事を多く行って初めて、真に「普通」になれる。日本国民はこれをよく分かっている。それでも過ちを押し通し、対外拡張の古い道を頑なに歩むのなら、右翼勢力は日本を誤った道へと導くだけだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年11月18日