韓国、軍備増強に5年間で300兆ウォン…
原子力潜水艦も推進(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.08.11 07:51
原子力潜水艦も推進(1)
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主要軍事戦力、どのように変わるか
韓国が軽空母と原子力潜水艦で北東アジアで登場するかもしれない新冷戦への対備に着手した。韓国国防部が10日に発表した国防中期計画(2021~2025年)には、周辺国の軍備増強や北朝鮮の核・ミサイルに同時に対処する軍事力を確保する内容が含まれている。国防中期計画は来年から5年間の国防予算ビジョンだ。大きな問題がない限りその通り執行される。今後予想される東アジア海域で中国の勢力拡張、核兵器と弾道ミサイルで武装した北朝鮮の圧迫に備える狙いがあるものとみられる。国防部はこのため、来年から5年間で301兆ウォン(約27兆円)を投じる計画だ。
来年から本格的に推進予定の3万トン級軽空母には、最新垂直離着陸ステルス戦闘機「F35B」20機が搭載される予定だ。現在推進中の軽空母は1隻だが、既存の「独島(トクド)」または「馬羅島(マラド)」の甲板を補強して軽空母に改造することが可能だ。そうなるとステルス戦闘機を搭載した軽空母を東海(トンへ、日本名・日本海)・西海(ソヘ、黄海)に派遣して北朝鮮の挑発を両方向からけん制することができる。F35Bは北朝鮮上空にいつでも潜入が可能で、北朝鮮がむやみに挑発できないように抑制することができる。また、この戦闘機は中国のどの艦載機より優秀だ。したがって軽空母を活用して同盟国と連合すれば、済州道(チェジュド)南端からマラッカ海峡に達する韓国の海上輸送路を保護することができる。韓米同盟にも役立つ。
この軽空母に小型原子炉を動力として使うと予想される潜水艦「張保皐(チャン・ボゴ)-III」(4000トン級)とイージス艦を加えれば小規模の空母打撃群を構成することができる。空母打撃群は北東アジアで海洋勢力均衡の一翼を担うことになる。3隻が建造予定の張保皐-IIIは弾道ミサイル(SLBM)と巡航ミサイルを装着する。有事の際、北朝鮮を含めた敵対勢力に対する打撃能力を持つ。ただし、韓米原子力協定は韓国のウラン濃縮の上限ラインを20%に制限していて、「協定により移転された核物質を核兵器または爆発装置の研究・開発やどのような軍事的目的のためにも利用しない」と規定している。原子力潜水艦の保有を本格的に推進させれば、韓米間の協議が先行して行われなければならないという指摘が出る理由だ。イージス艦は今後合計12隻を保有し、航空打撃群に編成される展望だ。海軍は現在のイージス艦「世宗大王(セジョンデワン)」級(7650トン)3隻を保有しているが、今後3隻をさらに確保する計画だ。
ここにミニイージス艦である韓国型次期駆逐艦(KDDX・6000トン)6隻を追加で建造すれば、海軍のイージス艦は事実上12隻に増える。しかし韓国の軽空母打撃群に対する中国と日本の視線は厳しくなるとみられる。
中期計画で2つ目に目を向けている戦力は弾道ミサイルと巡航ミサイルだ。韓国軍はミサイルの場合、現在も北朝鮮に次ぐ数量を確保しているが、精度がはるかに高く、ミサイルの精密打撃能力では北朝鮮を上回る。しかし、北朝鮮は核弾頭を装着した弾道ミサイルを確保していて深刻な脅威となっている。このような点を考慮し、国防部はミサイルを量的・質的に高度化すると明らかにした。在来式のミサイルで北核に備えるという趣旨だ。国防科学研究所は弾道ミサイルの弾頭重量としては世界最大である2トン級の開発に最近、成功した。大型弾頭を搭載したこの弾道ミサイルは、北朝鮮の地下100メートルバンカーを破壊できるというのが防衛産業関係者の話だ。大型弾頭が地表面を突き抜けて地下に入り込み、コンクリートバンカーと遭遇したら一次的に爆発して破壊した後、さらに深く入り込んでバンカー内部で最終爆発して崩壊させるという。それでも在来式ミサイルで北核に対応するには限界があるという点は明らかだ。
韓国、軍備増強に5年間で300兆ウォン…
原子力潜水艦も推進(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.08.11 07:54
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原子力潜水艦も推進(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.08.11 07:54
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ミサイル防衛体系の改善内容
3つ目は監視能力だ。韓国軍の作戦領域が拡張されるに伴い、小型監視衛星を2020年代中盤から宇宙に飛ばす計画だ。現在、韓国軍の戦略情報はほぼ米国に頼っている。ところが韓国軍が小型偵察衛星を持つようになれば、北朝鮮をはじめとする中国まで監視が可能になる。リアルタイムで必要な北朝鮮軍の移動情報を確保し、空軍戦闘機やミサイルに入力することができ、迅速な作戦につなげることができる。特に、北朝鮮軍のミサイル発射の動きや首都圏に向けた長射程砲射撃、大規模な戦車部隊などを探知することができる。したがって米国に対する情報依存度が減る。
韓国軍の情報収集能力拡大は戦時作戦統制権返還の条件なので国防部はさらに高い関心を向けている。重さ100キログラム級の小型偵察衛星は米国も現在推進中だ。小型衛星に加えて国防部が推進しているのは、韓国型衛星航法体系事業だ。韓国軍は衛星航法体系を米国の衛星利用測位システム(GPS)に頼っている。精密度が高い軍事用衛星航法体系は米国が韓国に制限的に提供している。したがって韓国軍の単独作戦に限界があった。問題は韓国単独の衛星航法体系を構築するには32機ほどの衛星が必要だが、これに必要とされる途方もない予算に耐えられるかどうかは疑問だ。
4つ目に、第4次産業革命の核心技術を活用した無人戦闘体系は今回の中期計画の重要な部分を占めている。北朝鮮軍兵力は118万人で韓国軍の2倍以上だ。従来の戦闘方式では北朝鮮軍の大規模戦闘力に耐えられない。また、戦闘状況で人命被害も避けられない。これに対してロボット戦闘体系を積極的に開発するということだ。
今年は爆発物除去ロボットを、2025年には無人捜索車両と多目的無人車両を、2030年には無人戦闘車両をそれぞれ開発して配備する。海でも無人水上挺と偵察用無人潜水艇を、空中では中・大型攻撃ドローンと中距離・近距離偵察用ドローンなどを確保する計画だ。しかし国防部は、人間とロボット戦闘体系構成に伴う戦術開発と人材運営計画、人工知能の接続に対する具体的な方案は出していない。