2023年5月4日(木)
米脚本家らスト突入
賃上げ・医療や年金拡充など訴え
07年以来
【ワシントン=島田峰隆】賃金引き上げや労働条件の改善などを求めて新たな労働協約を交渉していた全米脚本家組合(WGA)は2日、現在の協約が期限切れとなる1日までに制作会社側との交渉がまとまらなかったことを受けて、ストライキに入りました。米脚本家らによるストは、2007年11月から100日間続いたスト以来です。
WGAにはハリウッドの脚本家など1万人以上が加盟しています。脚本家らは2日、ニューヨークやロサンゼルスで集会を開き、スト入りをアピールしました。
交渉に臨んだWGAのデイビッド・グッドマン氏は、ロサンゼルス・タイムズ紙に「多くの重要課題をめぐり会社側は前に進む意図を持っていないことが明確になった」と指摘。WGAはツイッターで「脚本家が直面する存続の危機を踏まえると、制作会社側の対応はまったく不十分だった」と強調しました。
制作会社はインターネット動画配信サービスの普及で利益を上げています。一方で脚本家の週当たりの賃金の中央値は過去10年で23%下がりました。WGAは、制作会社が脚本家にインターネットを通じて単発の仕事をする不安定雇用の「ギグエコノミー」を押し付けていると批判しています。
WGAは3月から始まった交渉で、生活費の高騰に見合った最低賃金の引き上げ、医療や年金などの福利厚生の拡充、制作現場への一定数の脚本家配置などを要求しました。
また制作会社が人工知能(AI)を使って脚本家の過去の台本から新たな台本をつくらないこと、AIが作成した台本の手直しを脚本家に依頼しないことも要求しています。
米メディアによると、インターネット動画配信大手ネットフリックスなどが加盟する団体は「報酬の大幅な引き上げ」を提示したと主張。制作現場への一定数の脚本家配置には反対したとしています。