刀差し「安倍首相がんばれ」宣誓…幼稚園の「右翼教育」に日本が騒然
安倍-右翼幼稚園の癒着スキャンダル波紋
妻の昭惠氏を名誉校長に委嘱
土地の特恵購入疑惑の森友学園
子どもたちの「軍国主義教育」映像に衝撃
「政治偏向教育禁止法に違反」との批判も
支持率揺らぐ安倍、世論の鎮静化に汲々
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森友学園が運営する塚本幼稚園の園児たちが2015年秋の運動会で「日本を悪者として扱っている中国・韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします」という内容の宣誓をしている=ユーチューブキャプチャー//ハンギョレ新聞社
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「大人の人たちは日本が他の国々に負けぬよう、尖閣諸島、竹島(韓国名・独島)、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国・韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ、安保法制国会通過よかったです」
2015年10月11日。白い上着とオレンジ色の半ズボンを履いた4人の子どもが演壇に出て右手を上げて宣誓を始めた。この日は大阪府豊中市の国有地を安値で買い入れた特恵の疑いを受けている森友学園が運営する「塚本幼稚園」の秋の運動会の日だった。幼稚園側は韓国と中国が「嘘つきの国」という露骨な偏見を助長する内容を子どもたちの口を借りて暗唱させた。
その後画面では、この学校法人理事長であり日本最大の右翼団体「日本会議」の大阪地域の役員である籠池泰典氏が「長州(現山口県・安倍晋三首相の縁故地)の武士たちよ、今から幕府を倒すのじゃ」と叫ぶと、子どもたちは刀を差して走って行ったり、運動場で腕立て伏せをするなど軍隊の体罰に近い姿勢を演出している姿を確認できた。
先月27日にこの動画が公開されると、日本列島は大騒ぎになった。この幼稚園が子どもたちに昔の軍国主義時代の象徴である「教育勅語」を暗誦させるなど、常識外れたの教育をしていることは知られていたが、今回の動画を通じていまわしい「右翼教育」を幼稚園の子どもたちにどう教えたかが一つひとつ明らかになったからだ。
特に籠池理事長が子どもたちに安倍首相が2015年9月に強行可決させた「安保法制」に対してまで発言させたことは、政治的偏向教育を禁止した教育基本法違反という指摘が相次いでいる。市民たちも「このような教育を子どものときから受ければ危険な右翼になる」など懸念の混じった反応を示している。
28日の参議院予算委員会では、安倍首相とこの学校法人の関係を追及する野党の攻勢が再度続いた。岡田克也議員(民進党)など野党議員らが問題視したのは、安倍首相の妻の昭恵氏がこの学校の名誉校長を務めたという点と、この学校が発行した寄付用紙に「安倍晋三記念小学校」という表現が使われた点などだった。安倍首相は「私が(名前を書いてもいいと)了承したならば責任を取らなければならないが、私は断った」という苦しい釈明を出した。安倍首相は先月17日に、この学校の教育哲学について「先生の教育に対する意欲が高いと聞いた」と好感を示したことがある。
窮地に追い込まれた安倍首相は27日夜、内閣を担当する記者団を高級レストランに呼び「非公式の懇談会」を開いた。これについては安倍首相が直接記者たちを呼んで「報道自制」を求めたのではないかと噂されている。
東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
「森友学園」疑惑
ごまかし続けるのは許されぬ
大阪府豊中市にあった国有地が、学校法人「森友学園」に小学校用地として「格安」で売却された疑惑が国会で大問題になっています。当初の鑑定額を9億5600万円とされた土地が、「ゴミ撤去費」として8億1900万円も値引きされるなど異常なことが、なぜ起きたのか。野党に追及されても安倍晋三首相らは、まともに説明しようともせず、事実解明に後ろ向きです。安倍首相夫妻と森友学園の関係にも疑念が深まっています。不明瞭な一連の疑惑を徹底的に究明することは、参院に舞台を移した2017年度政府予算案の審議でも大きな焦点です。
不可解極まる格安売却
鑑定価格から8割以上も値引きされた国有地が、首相の妻・昭恵氏が「名誉校長」(のち辞任)を引き受けた私立小学校(今年4月に開校予定)用地として払い下げられる―。このこと自体が国民の疑問を抱かせるものですが、国会審議では、土地売却の手続きをめぐり財務省や国土交通省との異例なやりとりが繰り返されていた実態が浮かんでいます。
ゴミ撤去費用を8億円余りと算出したのは国交省大阪航空局でした。しかし、売り主である国の方がそんな見積もりをした国有地の売却は、過去例がありません。国は算出の根拠を説明しないため、「見積もり過剰」の疑いも濃厚です。森友学園側は「赤旗」の取材に、8億円もかかっていないことを認めています。ゴミをきちんと処理してない疑惑もあります。売買価格が最初は非公表だったことや売買代金を分割払いにしたなど不透明な問題は山積しています。
森友学園が土地取得に名乗り出た13年9月以降、何があったのか。異例づくしの売却の背景には、政治家の関与があるのではないのか。衆院予算委員会で日本共産党の宮本岳志議員は、15年9月に近畿財務局会議室で、学園側と財務局や大阪航空局の担当者が土壌改良費用について交渉していた事実を指摘し、交渉記録の公表を迫りました(2月24日)。しかし財務省は「記録は破棄した」と拒否し続けています。麻生太郎財務相は「適正な価格で処分された」「国がゴミを撤去したか確認する必要はない」と開き直っています。安倍首相も、会計検査院が調査すると述べるばかりです。国民の共有財産である国有地を適正に扱うことへの責任や自覚を疑わせます。
疑惑の土地に開設予定の小学校「瑞穂(みづほ)の國(くに)記念小学院」の名誉校長が首相夫人だったことをはじめ、首相側と森友学園との関係も問題です。同学園が運営する幼稚園の運動会で、園児に「安倍首相頑張れ」と唱和させていたことは国民を驚かせました。首相は、批判の広がりを前に、同学園と距離を置く姿勢を強めています。しかし、戦前の「教育勅語」を暗唱させるなど教育基本法さえ逸脱した教育方針の学園を、以前は高く評価していたのは首相夫妻でした。少なくとも道義的な責任が問われます。
解明求める声は8割以上
テレビ朝日の世論調査(27日放送)では、森友学園疑惑を「はっきりさせる必要があると思う」の回答は83%にのぼっています。首相は、自らの関与を躍起になって否定しますが、国民が納得できる経過の説明はしておらず、疑念は払しょくされていません。ごまかし続けることは、許されません。
(しんぶん赤旗)