2025年1月13日(月)
第4回中央委員会総会
志位議長の中間発言
日本共産党の志位和夫議長が第4回中央委員会総会の初日(10日)に行った中間発言は次のとおりです。
(写真)発言する志位和夫議長=10日、党本部
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たいへんに積極的な討論が続いていると思います。
決議案とその内容の基本点は、田村委員長の提案報告でのべた通りです。国際問題と理論問題は、新春インタビューでまとまってお話しする機会がありましたので、ぜひお読みいただけたらと思います。
私は、この決議案の内容をつかむうえでのいくつかの核心的な問題について発言します。3点にしぼって話したいと思います。
切実な要求実現と一体に、「ホンモノの改革の党」の魅力がきわだつたたかいを
「新しい政治プロセス」を前に――二つの基本姿勢を堅持して
第一は、参議院選挙をたたかう政治論戦の基本にかかわる問題です。
決議案では日本の政治の現状について、「大きな激動が予想される流動的局面に入った」と規定しています。そういった激動的・流動的情勢のもとで、どうやって参議院選挙の勝機をつかむか。
決議案は、「日本共産党は『新しい政治プロセス』を前にすすめるためにどうたたかうか」という問いをたてて、二つの点を強調しています。
第一は、国民の切実な要求の実現のために、あらゆる可能性を追求することです。
第二は、財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という自民党政治の「二つのゆがみ」に正面から切り込み、自民党政治を終わらせるたたかいの先頭にたって奮闘することです。
この二つの点を、いまの情勢に対するわが党の基本姿勢として、決議案の冒頭に明記しています。この基本姿勢を堅持して奮闘することがどうして重要か。
この基本姿勢で奮闘してこそ、自民党を追い詰め、自民党政治を終わらせることができる
まず強調したいのは、この基本姿勢で奮闘してこそ、自民党を追い詰め、自民党政治を終わらせることができる、ということです。
いま自民党は、かつてない危機的状況に追い込まれながら、この「二つのゆがみ」には指一本触れずに、暴走を加速しています。ごく部分的な「譲歩」――自民党にとっては痛くもかゆくもない「譲歩」をテコにして、一部の野党を抱き込んで危機の打開をはかる、これが自民党の戦略です。そして多くのメディアは、ごく部分的な「譲歩」の問題だけに焦点をあてて、あたかも日本の政治の焦点がそこにあるかのようなキャンペーンをはっています。これは「二つのゆがみ」を続けてよいのかどうかという、日本の政治の真の焦点を覆い隠すものとなっています。
そういうもとで、私たちがどうたたかうか。決議案がのべている基本姿勢が重要になってきます。国民の切実な要求の実現のために、あらゆる可能性を追求して政治を一歩でも二歩でも前に動かすためにがんばりぬく、という奮闘がたいへんに重要です。同時に、それだけでは自民党を追い詰めることはできません。自民党政治の「二つのゆがみ」に正面から切り込み、根本から変えるたたかいをすすめる、これを一体にすすめてこそ、自民党を追い詰め、自民党政治を終わらせることができます。
この基本姿勢で奮闘してこそ、野党の中での日本共産党の値打ちを際立たせることができる
さらに強調したいのは、この基本姿勢で奮闘してこそ、野党の中での日本共産党の値打ちを際立たせることができるということです。今後の政治プロセスで、野党は二つの流れに分かれていくことになるでしょう。
すなわち、あれこれの部分的改良と引き換えに、自民党政治の延命に手を貸し、「二つのゆがみ」を温存するという立場にたつ流れと、国民の切実な要求実現のために奮闘するとともに、「二つのゆがみ」を大もとから正すという立場にたつ流れに分かれていくことになるでしょう。
昨年の臨時国会での補正予算をめぐる動きは、総選挙後の政治プロセスで、そうした分岐の最初のあらわれとなりました。大軍拡と大企業への大盤振る舞いという二つの大問題を持った補正予算案に対して、国民民主党は「103万円の壁」、維新の会は「教育費無償化の協議体」、それ自体は悪いことではありませんが、「二つのゆがみ」には触れない部分的改良と引き換えに、補正予算案に賛成し、自民党の延命に手を貸しました。日本共産党は、それにきっぱりと反対を貫き、この二つの大問題に切り込む論戦を行いました。今年の政治プロセスのなかで、こうした分岐は一層鮮明になっていくでしょう。
自民党政治の「二つのゆがみ」を告発し、これを正せばどういう展望が開かれるかを語ろう
そういうもとで、決議案がのべている基本姿勢が重要になってきます。決議案で示している政策的訴えの五つの柱――政治とカネ、暮らし、平和、環境、ジェンダーでの政策的訴えと一体に、財界・大企業中心、日米軍事同盟絶対という自民党政治の「二つのゆがみ」を告発し、このゆがみを正せばどんな展望が開けてくるかを、太く、新鮮に、分かりやすく訴えぬく。これがわが党の値打ちを光らせていくうえで絶対不可欠になります。
繰り返しになりますが、国民の切実な要求実現のための努力は、たいへんに大事です。ここで他党に負けない、わが党ならではのとりくみが大切です。同時に、この土俵での競い合いだけになったら、党の値打ちを光らせることはできません。わが党でなければ訴えられない「二つのゆがみ」を大もとから正すという立場、「ホンモノの改革の党」としての魅力が伝わってこそ、はじめて多くの国民の気持ちをつかむことができ、勝機をつかむことができます。
討論のなかで、「今年は、自民党政治の『二つのゆがみ』をめぐって各党がふるいにかけられるプロセスがすすむだろう」という発言がありました。まさにその通りです。「各党がふるいにかけられるプロセス」がすすむことになる。
そのときに、私たちが、決議案でのべているこの二つの基本姿勢に立った奮闘をやりぬいてこそ、日本共産党は勝利に向けて浮上できる。「ホンモノの改革の党」としての値打ちが際立つたたかいをやりぬいて、その魅力を国民に広く伝えながら、勝機をつかんでいこうではないか。これが決議案の提起であります。
経済論戦――責任ある財源論をもつ党でこそ、困っている人の暮らしを守れる
第二は、政治論戦の中でも大きな焦点の一つになる経済論戦の問題です。
決議案では、「暮らしの困難を打開し、安心とゆとりを」と打ち出しています。国民の多くが生活苦にあえぐ中で、経済論戦でどうやって党の値打ちを光らせていくかということは、選挙戦の勝敗に直結する大事な問題となってきます。
五つの分野での党の政策的提起――先駆的で豊かな内容を自信をもって訴えよう
決議案は、働き方、税制、社会保障、教育費、農業、5分野にわたって、どれも党ならではの先駆的な政策的提起を行っています。
たとえば働き方の問題をとっても、政治の責任で賃上げを進める具体的提案を行っている党は日本共産党しかありません。労働時間短縮は、昨年末、「朝日」が「脱・長時間労働」の特集記事を掲載するなど、社会的関心が集まっている問題ですが、ここに先駆的に切り込んでいる党も日本共産党しかありません。この五つの分野での党の政策的提起での内容の全体が、どれも先駆的で豊かなものであり、自信をもって訴えていこうということをまず強調したいと思います。
無責任な放漫財政の道を走る自公政権――国民生活の破壊と戦争への道
そのうえで、ここで訴えたいのは、決議案が、「責任ある財源論をもつ党でこそ、困っている人の暮らしを守れる」ということを、暮らしの項の最後で訴えていることの重要性です。これがとても大事になってきます。
端的に言いますと、いま自公政権は、大軍拡と大企業への大盤振る舞いを、まともな財源を示すことなく突き進む、本当に無責任な放漫財政の道を走っています。
たとえば軍事費を5年間で43兆円増やすという。しかし財源をまともに示してはいません。結局は、庶民増税と社会保障切り捨て、暮らし予算の削減になるわけですが、そのことを具体的には言いません。隠ぺいしています。まともな財源を示すことなく、空前の大軍拡の道を走っている。さらにアメリカに言われるまま、GDP(国内総生産)比2%にとどまらず、もっと増やしていこうという動きになっています。これは無責任な放漫財政の極みと言わなければなりません。
軍事費でそういう放漫財政をやるから、他のあらゆる分野でも、たがが外れてしまっている。たとえば半導体の大企業に対して、何兆という単位の補助金を出すというでたらめをやっています。これまでにもなかった異常な税金のバラマキであります。
よく自公政権は「緊縮財政」だという議論がありますが、これは正しくありません。たしかに国民に対しては冷酷無情な「緊縮財政」をやっています。しかし大軍拡と大企業に対しては無軌道な放漫財政をやっている。これがいまの自公政権の姿であり、この道が国民生活の破壊と戦争への道だということは、決議案が示しているとおりです。
そしてこういう状況のもとで、一部の野党もあれこれの政策を財源の裏付けなしに主張している。これは無責任な放漫財政という点では、自公政権と軌を一にした姿勢だといわなければなりません。
暮らしのための積極財政の提案を、責任ある財源論とセットでかかげる唯一の政党
そういうもとで日本共産党はどうするか。決議案にあるように、日本共産党は暮らしのための積極財政の提案を、責任ある財源論とセットでかかげる唯一の政党になっています。この値打ちを深く確信をもって訴えていくことが大事です。
わが党は、消費税減税など恒久施策については税財政の改革――大企業と富裕層への応分の負担、大軍拡の中止などによる恒久財源でまかないます。23兆円の規模となります。時限的施策については、大企業の内部留保課税や国債でまかないます。18兆円規模になります。合計で40兆円を超える大規模で積極的な提案となっています。同時に、ぎりぎり精査をして、合理的で責任ある財源論を仕上げています。わが党が、暮らしのための積極財政の提案を財源論とセットでかかげることができるのは、自民党政治の「二つのゆがみ」を正す立場にたっている党だからにほかなりません。
先日、自民党の森山幹事長が「政策は財源論とセットで語るべきだ」と言いました。しかし一番それをやっていないのが自民党だと、まず言わなければなりません。同時に、一部の野党もあれこれの政策を財源の裏付けなしに主張している。財源の裏付けがないという点では、自民党とどっちもどっちであります。
そういうなかで徹底的に国民の立場にたって政策は財源論とセットの立場を堂々と貫いているのが日本共産党です。ここを胸を張って押し出す必要があります。私たちの経済政策の一つ一つの内容の魅力とともに、すべての政策が財源の裏付けをもっている。このことをセットで語りぬこうではありませんか。
暮らしの困難に心をよせ、勇気をもって真実を訴えよう
いま国民の暮らしの困難は非常に深刻です。多くの人々がわらにもすがる思いだと思います。そこに耳あたりの良い政策をあおる勢力がいる。そうしますと、ついついそういうわらにすがってしまう。しかしそのわらには財源の裏付けなしという毒があります。この毒つきのわらをつかめばズブズブと沈んでしまうことになります。結局は、暮らしが壊され、平和が破壊されることになります。決議案に書いてある通りです。
そうした状況のもとで、私たちは、理性的に、丁寧に、そして確信をもって、真実を語る必要があります。経済政策の一つ一つの魅力を語るとともに、責任ある財源論とセットという点を語る。この立場を欠いて財源論で無責任な立場をとるならば、わが党の経済政策の全体が信頼を失うことになるでしょう。国民の暮らしの苦難に心を寄せ、わらにもすがる思いに心を寄せるとともに、暮らしの困難を本当に打開しようと思ったら、この理性的な立場を揺るがずに貫くことが大事なんだと語る。勇気をもって真実を語ってこそ、私たちは勝機をつかむことができるといいたいと思います。
そうすれば暮らしの困難を打開しようと真剣に考えている人たちは、必ず日本共産党の主張を理解してくれると思います。わらにもすがる思いの人にも、本当に困っている人を助ける道はこの道なんだということを、届く言葉を磨きながら、確信をもってわれわれが訴えていけば必ず訴えが届くと思います。この立場を貫くことが勝利への道だということを訴えるものであります。
党活動の基本的構え――「二つの一体的追求」をどうやって成功させるか
第三は、党活動の基本的構えの問題についてです。
決議案は、「選挙勝利をめざす活動と党づくりをどうやって飛躍させるか」と問いかけ、「二つの一体的追求」を提起しています。すなわち、一つは、「選挙勝利の活動と党づくりの活動の一体的追求」、いま一つは、「毎月の党勢拡大の前進と党の総力をあげての世代的継承の一体的追求」であります。
全党の議論と実践で探究・開拓していくようにしたい
これは本当に、「言うは易(やす)く行うは難しい」という問題です。
私たちは、決議案をつくる際に、どうやればできるか、いろいろな角度から検討を行いました。この「二つの一体的追求」をやらなければならない、その必要性についてはだれしも異論がないことだと思います。しかし、どうやったらやれるか。ここで悩んでいるみなさんが多いと思います。私たちもそうであります。
この点をいろいろな角度から検討し、決議案では、あれもこれも全部書くということをしないで、いくつか大事なヒントになる問題を提示して、みなさんの議論にゆだねて、知恵を集めて決議案を仕上げ、全党の議論と実践で探究・開拓していくようにしたい。そういう思いで決議案を仕上げ、今この総会の討論にゆだねているわけです。
「大きなカナメ」――「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」
まず、選挙活動と党づくりの一体的追求という提起ですが、これは総選挙に向けてはこれが十分にできなかった、という反省に立ってのものです。中央のイニシアチブとして、選挙活動の日常化に弱点がありました。党づくりのほうは本当に真剣に、みんなでとりくんだわけですが、それと一体に選挙活動の日常化をやるという点での、イニシアチブが不足していた、というのが中央としての反省でした。この反省の上に立って、決議案は、選挙の日常化と、党づくりの一体的追求を今度こそやりぬくという大きな命題を立てました。
それではどうやってこの一体的追求を成功させるか。いろいろな大事な点があると思いますが、最大のカナメは、――決議案では「大きなカナメ」という言い方をしておりますが――、それは「要求対話・要求アンケートにとりくみ、要求を実現し、国民との新たな結びつきを広げる」、ここに思い切ってとりくんでみよう、これを「大きなカナメ」として、一体的追求をすすめよう、ということを今度の決議案では提起をいたしました。
「要求対話・要求アンケート」を何のためにやるのか。まず国民の要求を聞く、そして要求を一緒になって実現する、新しい結びつきを広げる。これがこの活動にとりくむ目的の基本になります。
決議案にもありますように、従来、私たちの声が届いていた範囲の活動の繰り返しでは、国民の中に起こっている新しい変化を党の前進に実らせることはできません。討論でも出されましたが、総選挙のたたかいを振り返りますと、広大な無党派の人々、若い世代の中に、私たちの声が届いていない、声が届いていないから日本共産党ははなから選択肢に入らない、こういう状況がかなり共通してありました。そういう人々には、これまでの活動方法の繰り返しでは、私たちの声が届かない。それにくわえて、名簿が少ない、細っていく、電話がかからない、などの問題があります。これまでと同じやり方で、同じ人々を対象に、ぐるぐる回っているのでは、新しい層に声が届かない、これは多くのみなさんの共通の大きな悩みになっていると思います。
それでは、新しい層への結びつきをどうやって広げていくか。ここで「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」という新しい活動方法に挑戦し、これを選挙活動と党づくりを一体的にすすめる「大きなカナメ」の活動として位置づけようじゃないかということを決議案では打ち出しました。討論では、この方針について、選挙勝利、党づくりを前進させる戦略的大方針と受け止めたと、歓迎する声が先ほど出されました。その通りであります。あれこれの手の問題ではなく、まさに戦略的大方針としてこれを打ち出しました。この方針でこそ若い人にも声が届く、世代的継承の展望が開かれるという受け止めも議論の中で出されました。これもその通りだと思います。
全国の経験を踏まえ、ベルギー労働党の活動に学んで
この方針は、私たちが、頭の中で考えたものではありません。地方選挙の場合、多くの地域では、要求アンケートにとりくみ、それを力にしています。討論でも、街頭での「なんでも相談会」や、アンケート活動にとりくみ、結びつきを広げて、党勢拡大につなげている経験が語られました。すでに全国でさまざまな形で、要求の対話、要求アンケートにとりくみ、前進をつくりだしている経験がたくさんあるのではないでしょうか。どうかこの総会では、それを出しあって、光をあてていきたいと思います。
もう一つ、私たちがこの提起を行う上で参考にしたのは、ベルギー労働党であります。私は、昨年の9月にベルギーを訪問した際に、ベルギー労働党のメルテンス書記長と会談して、この党がSNSで優れた活動をやっていることに非常な感銘を受けましたが、もう一つ、この党が国民の声をよく聞き、暮らしの苦難に寄りそって活動する党だということにも強い感銘を受けました。選挙の前に要求アンケートに大規模にとりくんで、その結果を政策や活動に反映させているのです。
こうした交流をふまえて、先日、田中悠副委員長を中心とするSNS戦略室とベルギー労働党の担当部門との間で、オンライン会談を行い、かなり詳しく経験を聞きました。先方からこういうことが言われました。
「私たちは、聞くことから出発します。毎回の選挙では、選挙前に大規模なアンケート調査を実施します。Webサイトやオンライン調査、紙を使った調査で、具体的な問題について20~30の質問をします。ここから出発をして、戦略を組み立てて、結びつきを広げています」
こういう話でした。いま、ベルギー労働党は躍進の中にあって、私たちが訪問した後の地方選挙でも躍進が続くといううれしいニュースが入ってきましたが、この躍進はSNSの力だけではないのです。いま紹介したような結びつきを広げる地道な活動をやる中で、それと一体にSNSを強化している。そういうことも参考にして、この方針を打ち出したことも報告しておきたいと思います。この戦略的大方針を全党がつかんで、選挙勝利、強く大きな党づくりを必ず成功させようではありませんか。
この戦略的大方針は、決議案の方針の全体に貫かれている
決議案との関係で、ここでつかんでいただきたいのは、「要求対話・要求アンケートで、新しい結びつきを広げる」という戦略的大方針は、この決議案の方針の全体に貫かれているということです。
まず、「選挙勝利への活動――『三つの突破点』をさらに発展させよう」の活動方針の二つ目に、この大方針がズバリ位置づけられています。「折り入って作戦」を質的に大きく発展させるものとして提起をされています。
さらに、「世代的継承を中軸とする党建設」の活動方針のなかでは、第1項目が、「要求対話・要求アンケートの推進は共通の土台」になっています。このとりくみは党づくりでも、これまで声が届かなかった若い世代、労働者との結びつきを広げ、党に迎え入れていく大きな力になるし、力にしていかなければなりません。
選挙でも党づくりでも、全体を推進する「カナメ」となる共通の戦略的大方針として、この方針を提起しています。決議案がそういう構造になっているということを、つかんでいただければと思います。
たとえて言いますと、国際人権規約では、社会権規約(A規約)、自由権規約(B規約)、二つの規約があるんですが、社会権規約と自由権規約には共通第1条というのがあります。「人民の自決権」が共通第1条に据えられていて、全体が展開されている。もちろんそれとは次元が違う話ですが、人民・国民が主人公という点では似たところもあります。そうしたことも思い浮かべながら、「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」ことを共通の大方針――戦略的大方針として選挙でも党づくりでも推進力に位置づけるという構成となるよう決議案を仕上げました。
党勢拡大――毎月の前進のための独自追求をはかることは絶対に不可欠
もう一つの一体的追求は、党勢拡大の問題です。毎月の党勢拡大の前進と党の総力をあげての世代的継承の一体的追求です。
ここでまず大事なことは、決議案が、毎月毎月の前進のために独自追求をはかることが絶対に不可欠だと強調していることです。「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」という戦略的大方針は、党勢拡大でも新しい大きな前進の条件をつくることになります。しかし、それだけで自動的にこの課題がすすむことはありません。独自追求が絶対に必要になります。これを欠いたら、あっという間に党は大きく後退してしまいます。この点での全党のみなさんのがんばりに心から敬意を払い、激励し、発展させる必要があるということをまず強調したいと思います。
世代的継承との一体的追求――「二つのカギ」をしっかり握ってとりくもう
同時に、世代的継承の問題は、党の現在と未来にとって文字通り死活的に重大な課題となっています。世代的継承のとりくみは、本当に緒についたところで、このままでは党の未来は開けないという状況の中で、どうやってこれを毎月毎月の拡大と一体的にすすめるか。ここでの一体的追求については、「二つのカギ」という提起をしています。
一つ目の「カギ」は、世代的継承について、担当者や担当部門をきちんとおいて、いついかなる時にも維持・強化していくことが大事ですけれども、何より大事なことは、担当者や担当部門まかせにするのではなくて、党機関や党組織の長が先頭にたって、党をあげてのとりくみにしていくことにある。ここで成否が決まるということです。現にそういうことをやっている党組織では、世代的継承も、党勢全体の拡大も、両方がすすんでいるということを、私たちはすぐれた経験から学んだということを、決議案ではのべています。
もう一つの「カギ」は、短期の目と中長期の目、両方の目で、党の活動にとりくんでいくということです。短期の目、これはもちろん大事です。毎月毎月どうやって前進をはかるか、短期の目で執念をもってがんばることなしに前進は絶対にかちとれません。同時に、中長期の目を大事にする。世代的継承のとりくみは、すぐには党勢拡大に実らないことも多い。しかし、とりくみを通じて人間的信頼関係ができた、結びつきができた、これは一つひとつが大きな財産になります。その一つひとつを評価して、中長期の目で実らせていく。短期の目と中長期の目、両方の目で党の活動にとりくむことを提起しています。
こうして決議案は、「二つの一体的追求」について、「要求対話・要求アンケートで新しい結びつきを広げる」という「大きなカナメ」、いまのべた「二つのカギ」をにぎって、これを推進しようと提起しています。
「最大の保障」となるのは、全支部・全党員がたちあがる運動にすることにある
そのうえで最後になりますが、ここが一番大事なところでありますが、決議案は、第3章の結びの部分で、選挙勝利と党づくりを一体的に前進させる「最大の保障」となるのは、全支部・全党員がたちあがる運動にすることにあると訴えています。これが決議案全体をやりぬく「最大の保障」なのです。それ以外に道はありません。他に楽な道があるわけではありません。やっぱりこれが「最大の保障」だということをとらえ、腹をくくって、全支部・全党員がたちあがる運動にいかにしていくか。ここにみんなで知恵と力をそそいでとりくみたいと思います。
そのために決議案でのべているように、「手紙」と「返事」の活動をここでもう1回位置づけて、推進の力にしていくこと、全国地区役員講座に学んで、地区機関の活動を改善・刷新していくことが大事になってきます。
こうした決議案の方針の組み立てをつかんでいただき、討論で深め、具体化・実践に生かしていただきたいと思います。「二つの一体的追求」、それを進めるうえでの「大きなカナメ」、「二つのカギ」、そして、「最大の保障」は全支部・全党員の決起――「カナメ」と「カギ」と「最大の保障」という言葉を使っていますが、決議案が提起している方針の立体的な関係、立体的な構造をよくつかんでいただいて、ぜひ討論で深めていただき、具体化・実践にとりくんでいきたいと思います。
みんなの知恵を集めて、この決議案をより良いものとし、選挙勝利と党づくりを何としてもやりぬこうではありませんか。そのことを訴えて発言といたします。