私の土曜日は 起きたらまず洗濯から始まる
朝食をすませ お風呂に入ってから買い出しに出かける
昨日もそうして家から出た時だった
道を歩いている女性が立ち止まり 私に声をかけてきた
「○○さん・・・?」と
私は私で「はい・・・・」と答えつつ 頭の中ではえ~と この人は誰なんだろうと必死に考える
年齢からして私より少なくとも10歳は上だろうと思われるが 母の知り合いだとしたらもっと年上であるはずだし・・
「え~と どちら様でしたか・・・」と思い切って尋ねると 「○○屋の・・」と
それではっきりと思い出した
私が小学生の頃 うちのすぐそばにスーパーマーケットができた
すでに向かいには 八百屋 乾物屋 お菓子屋 肉屋 雑貨屋などが入ったマーケットがあり こういったスタイルが多かった中で 色々な品物を一つの店で扱うスーパーは 更に大規模な店舗展開をするスーパーが生まれるまでは非常に便利な店として繁盛することになる
そこの奥さんが彼女だった
今日はあれが安い これが美味しいよ と店の中で声が飛び交い 地方出身で中卒のまだ子供のような男性 女性が店員として入ってきては 結婚後も長く働いていた
母も日常的に買い物に行き もちろん私も姉もだった
やがて本格的スーパーが進出し始め 我が家も買い物をする店の選択肢が増え始めた
それが原因かどうかはわからないが 10数年前になるだろうか 店を閉めた
「お母様はお元気?」と訊かれた
「10年前に亡くなりました」と答えると 「あら・・・そう・・懐かしいわ 会いたかった・・・」と
坐骨神経痛だかにかかり だから今はこうして・・・と ショッピングカートのようなものに視線を向けた
姉がピアノを弾いていたことも覚えていてくれた
あの頃の店員だった人は 今もあちこちで仕事をしているそうだ
とても忙しかったでしょ だからもうそれが癖のようになってしまって忙しくないと物足りないらしいの うちがそうしてしまったのかどうか と笑って話す彼女に あの頃の商売人の顔はもう無く こんなに穏やかな話し方をする人だったのかと少し驚いた
「順番よね・・・」と 彼女は言った
お元気で 気をつけて と挨拶を交わして道の左右に分かれた
歩いていても なにかぼーっとした気持ちからなかなか抜け出せずにいた
再開発があったせいで 駅までの道もその付近の様子も一変してしまった
書店の趨勢など最たるもので 私が若い頃に通った店はすでになく 生まれた順に新しいものにとって代わられ消えて行った
私は時々 当時の姿を頭の中で思い浮かべることがあるが それも次第にあいまいになっている
日常的に変化や時間の流れを感じているわけではないが ふとした瞬間に歴史が流れ込んでくることがある
つい最近のことのようでもあり 遠い昔のことのようでもある
そして 私もまもなく還暦を迎える
順番よね
どうやら私も この言葉の意味を感じ始める年代になったということらしい
朝食をすませ お風呂に入ってから買い出しに出かける
昨日もそうして家から出た時だった
道を歩いている女性が立ち止まり 私に声をかけてきた
「○○さん・・・?」と
私は私で「はい・・・・」と答えつつ 頭の中ではえ~と この人は誰なんだろうと必死に考える
年齢からして私より少なくとも10歳は上だろうと思われるが 母の知り合いだとしたらもっと年上であるはずだし・・
「え~と どちら様でしたか・・・」と思い切って尋ねると 「○○屋の・・」と
それではっきりと思い出した
私が小学生の頃 うちのすぐそばにスーパーマーケットができた
すでに向かいには 八百屋 乾物屋 お菓子屋 肉屋 雑貨屋などが入ったマーケットがあり こういったスタイルが多かった中で 色々な品物を一つの店で扱うスーパーは 更に大規模な店舗展開をするスーパーが生まれるまでは非常に便利な店として繁盛することになる
そこの奥さんが彼女だった
今日はあれが安い これが美味しいよ と店の中で声が飛び交い 地方出身で中卒のまだ子供のような男性 女性が店員として入ってきては 結婚後も長く働いていた
母も日常的に買い物に行き もちろん私も姉もだった
やがて本格的スーパーが進出し始め 我が家も買い物をする店の選択肢が増え始めた
それが原因かどうかはわからないが 10数年前になるだろうか 店を閉めた
「お母様はお元気?」と訊かれた
「10年前に亡くなりました」と答えると 「あら・・・そう・・懐かしいわ 会いたかった・・・」と
坐骨神経痛だかにかかり だから今はこうして・・・と ショッピングカートのようなものに視線を向けた
姉がピアノを弾いていたことも覚えていてくれた
あの頃の店員だった人は 今もあちこちで仕事をしているそうだ
とても忙しかったでしょ だからもうそれが癖のようになってしまって忙しくないと物足りないらしいの うちがそうしてしまったのかどうか と笑って話す彼女に あの頃の商売人の顔はもう無く こんなに穏やかな話し方をする人だったのかと少し驚いた
「順番よね・・・」と 彼女は言った
お元気で 気をつけて と挨拶を交わして道の左右に分かれた
歩いていても なにかぼーっとした気持ちからなかなか抜け出せずにいた
再開発があったせいで 駅までの道もその付近の様子も一変してしまった
書店の趨勢など最たるもので 私が若い頃に通った店はすでになく 生まれた順に新しいものにとって代わられ消えて行った
私は時々 当時の姿を頭の中で思い浮かべることがあるが それも次第にあいまいになっている
日常的に変化や時間の流れを感じているわけではないが ふとした瞬間に歴史が流れ込んでくることがある
つい最近のことのようでもあり 遠い昔のことのようでもある
そして 私もまもなく還暦を迎える
順番よね
どうやら私も この言葉の意味を感じ始める年代になったということらしい