どこまでだって歩いていけるさ

2012年1月22日 それまでの日記を引き連れてOCN Cafeから移住。
新しい扉の向こうには何があるのだろうか。

夏の旅 §14.エンドレス・ループ

2012年08月26日 | 日記
さて ダラダラと書き綴ってきた私の旅もいよいよ大団円を迎える

京都駅から1キロほどの場所 大きな通りを隔てた向こうには西本願寺という場所の 細い路地の角にそれはある

ブルーシートに覆われたそれを見たくて こっそりはがせないかと試みたこともあった

このあたりのはずだと歩いていたら 来た 見た あった!!!


まず最初にしたこと「やっと会えたね~ 来たよ~」と言って 動物たちの頭をなでたことだった

ひとしきり顔を眺めてから(多分 気色悪いほどの笑顔だったと思う)写真を撮ろうと我に返った時 「文化財なので触らないでください」という注意書きが目に入った

ごめんなさい 沢山なでなでしちゃいました


忠太を知ってから 私は東京近郊で行けるところには一ツ橋大学を除いてはすべて見てきた

千葉県にある中山法華経寺の聖教殿にもその周囲に動物たちが配置されていて その頃望遠レンズを持っていなかった私にとって これは今もリベンジの対象となっている

重文の塔もあるこの寺の奥まった 草生した場所にあったのには なぜ? という印象を強く抱いた場所だ

あまり意味のない 無くても済むはずの動物たちを配置してしまうところがたまらなく好き

彼の建築そのものには それほどの興味は無い


彼らをとびきりのいい顔で撮りたかった

腕がからきし無いのが何よりも悔しい

後日 かわいいでしょう~とひとに見せたところ 誰もが首をかしげたことも 実に悔しい


ヴォーリズの建物で友人との食事のあと 奇妙な平安神宮に大笑いした

新幹線に乗り遅れて 指定席の変更をしたのも大笑い

そうして帰途についたのは 「旅の最後」に戻るというエンドレス・ループ 

たった一つ違うのは こうして書いてみてわかるのだが 高度がちょっぴりだけ変わったということ

ほんの少しだけ 見える景色が変わった

こんな風にして 私は山を螺旋状に上っていくのだろう


頂上は まだまだ遠い 






これらを可愛いと思うかどうかは人それぞれなのだと知って 少なからずショックだった




この阿吽ときたらもう ンニッ! アカンベ! みたいに見えるでしょ

 
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夏の旅 §13.集中豪雨

2012年08月26日 | 日記
旅の間も早起きの私は 起きてからまずお風呂に入る

それから当日の支度をしながら テレビを見る

知りたいのは天気予報だけだ

曇りと雨のマークの予報ばかりだった日程にも関わらず まずまずの天気に恵まれ 最終日もそれで終わるだろうと思っていた

ところがだ

夜半に降った大雨の影響で 雨こそ上がっているものの 列車が運休していることがわかった

そんなに降ったことも知らずに私は眠っていたのか


東京での私の生活の中で よほどの台風か落雷でも無い限り電車がストップすることは無い

なんてこった!

大阪から京都まで行く途中の山崎にある 前から見たかった山荘の美術館に立ち寄る予定なのに JRも私鉄もすべてが動いていないという

京都はおろか 東京まで帰れるのか 私?

とにかくこういうときは早めに出発して 現場で新しい情報を得るしかない


大阪駅に着くと 案の定 駅はごった返していた

質問攻めの駅員から得た情報では 新幹線は動いている そしてJRも吹田までは動いているということが判明

吹田ってどこらへんだ?

とにかく新大阪駅までは行けるはずだから・・・(脳はフル回転する)新幹線に乗れさえすれば一駅で京都じゃないか!!


京都では長い間待ち焦がれていた忠太の動物がいる

友人と昼食の予定もある

京都ならばまた来る機会もあるだろうと 大山崎山荘美術館は諦めることにした

新大阪駅について あとは新幹線に乗るだけと安心した私が甘かった

甘過ぎた めちゃめちゃ甘かった

特急券を買おうとしたら 窓口が長蛇の列

払い戻しの人や別ルート・別の時間に変更する人たちなのだろうか

すいすい買える自販機は どうやら予約している人のためのようだ



並んで待つことと手続きというものが大嫌いな私ではあったが 必要不可欠であるならばそれも黙って飲み込む

フォーク並びをしているので 状況を把握できないお年寄りが窓口まで行っては並んでくれと言われる 

人が通れるようにところどこにできた列の隙間を最後尾だと思って並ぼうとする人が 後ろはずっと向こうだと知らされる(私自身もどこが最後なのか心配で 前の人に尋ねたくらいだ)

列は前に進むが それよりも並ぶ勢いのほうが勝っている

携帯で連絡をする者 途方に暮れる者  

しかも 構内が暑い

そのうち東海道新幹線も止まったらしいことが耳に入ってくるが もうかなり並んでいるのでどうしようもない

1時間ほど待って やっと窓口に到達


あれやこれや尋ねてからたった一駅の特急券を買った

こんな贅沢 したことない!

が 仕方ない

冷房の効いた構内の喫茶店で待ってみようとしたら そこも数人の客の列

私の前にいた女性と自然と話が始まった

席が空いたのは10分ほどしてか その彼女と相席することになった


大阪在住のその人は なかなかのオシャレな人で60歳を少し超えたくらいだろうか

実家のある福岡まで帰るのだという

その実家の若夫婦に10年越しで待望の赤ちゃんが授かり そのお祝いも兼ねて帰るのだときかされた

本人は二人の娘も嫁ぎ 今は一人暮らし

お互いに独り暮らしということもあって(それに女性だし) 口数が多くなる

64歳になる姉は名古屋から一足先に福岡入りしているけれど なんと青春18きっぷを使って12時間以上かけて帰ったとか

私はいくら安くても そんなのはできないわ と彼女

私もいつか 一度はあれにチャレンジしてみたい!!

福岡に向かう新幹線にはなんの支障も無い

お弁当を買って乗るという彼女と一緒に店を出て 互いに気をつけてと声を交わして別れた


さて 問題は私だよ!

駅員に尋ねると 東海道新幹線も無事動き始めたという

やった!これでやっと前進できる!

後で知ったことだが 滅多に無いほどの集中豪雨だったのだ

被害はもちろん 亡くなられた方もいた

私がたまたまそそうした地に居合わせるということだって これから先無いとも言えないわけだ


新幹線が動けば こだまであろうと ひかりやのぞみであろうとも 京都まで行くのに支障はない

ちょうど発車寸前だったこだまに飛び乗った

動き始めたばかりで しかもこだまとあってか ガラガラだった

たった一駅に840円の特急料金を払った私が京都に着いたのは 正午を過ぎた頃だった

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夏の旅 §12.本来の旅の姿

2012年08月26日 | 日記
三日目 7時過ぎにホテルを出発

天気は そう悪くは無い

旅に出る前に 友人に晴れ乞いの裸踊り(何故に裸なのかは謎だけど)を頼んでおいた

どうやら効き目があったようだ


三宮のドトールでヨーグルトドリンクを飲みながら 今日のコースを確かめる

店員さんに異人館まで歩ける距離かどうか尋ねたら 入り口までは徒歩15分ほどだというので 循環バスには乗らずに歩くことに決めた

イスラム寺院を見てからいよいよ異人館の立ち並ぶ地域へ突入


面白かった

でも そこは観光地だった

入場料は300円から1000円まで

全て見ると5000円を超すらしい

あるものはレストラン あるものは博物館らしきものとして利用されている


「鱗の家」と呼ばれるそれは「風見鶏の家」同様 人気があった

確かに外壁に特徴があり 他とは違う魅力がある

その姿を外からでは 意図してかせずか ほとんど見ることができない

しかも これが一番高い1000円(美術館と兼ねての入場料)


旅に出る前からすでにこのことは知っていた

当初はそのいくつかを見てもいいと思っていたのだ

ところが その地に立ってみて 気持ちが萎えてしまった

見ていきませんか という呼び込みもあり 想像していたとはいえ 私はもういい!と思った

ここまで来て中を見ない(無料の「萌黄の家」だけは見た)で帰る人も珍しかろうと思うが 私にはそういうものだった

意地でも見ないぞ という気分でさえあった(まったく意味の無い意地ではあるが)


幾つかは廃墟と化している

空き地となった場所を公園にしているが そこにはかつて使われた歴史を感じさせる煉瓦の門が残っていたりする

今も居住者がいて 非公開のものもある

それらのほうがはるかに想像力が掻き立てられる

どんな人が どんな人生を送り また送っているのか

見世物小屋に興味は無かった


坂道で有名な町ではあるが あのライト坂に比べたらどうということもなく 午前中イッパイ歩き回った

三宮駅にあるニュートーキョー系列のザコバという店に 生ビールに釣られて入る

可もなく不可もなくで 一人で入るのにはちょうどいい

さて この後はどうするか

もう一度 海側を見るのもいいし 港のほうに行くのも悪くないな

灘の酒造関連の町にも なかなか良いものがある

それらも候補の一つだった


ところがビールを飲んで気が大きくなったのか まるで考えてもいなかった場所に行ってみたくなった

旅の本来の姿 足の向くまま 気の向くまま そんなことをしてみたくなったのだ

そうだ!唐招提寺を見に行こう!


大阪に戻ったのが午後二時

その一時間後 私は唐招提寺の門前に立っていた

中学の修学旅行以来の奈良である

どう行けば良いかもわからず とりあえず奈良駅にある(だろう)旅行センターで聞けばいいかとJRに飛び乗った

途中では 新幹線からを除けば今回の旅で初めて目にする田園風景

大阪駅にしても 神戸にしても 東京と似たような人の波

それから逃れるようにして来た古都に私が求める近代建築はほとんどないのだが それでもこれこそまさに旅という気持ちであふれていた


平成の大修理を経た金堂は 正面7間 側面4間 正面の8本の太い円柱がこの寺の個性

大棟両端の鴟尾(しび)は 今回の修理にあたって新しいものになっている

中学生だった私は なぜかこの寺だけが気に入った

それが何故かは 今回行ってみてもさっぱりわからなかった

あまりに有名な「天平の甍」という小説があるが このすっきりとした屋根の美しさが気に入ったのだろうか

それともやはり あの円柱だったのだろうか

何十年も前の自分に問いかけてみたが 答えは見つからなかった

今思うと トウショウダイジ という音と4文字の寺の名前が印象的だっただけかもしれないし あの小説を読んだ感動から そう思い込んだのかもしれない


5時過ぎに奈良駅に戻る

宿泊しているホテルの横にスーパーがあったことに なんとその日の夕方気がついた(週末は休みだったのだと・・・思いたい)

汗を流してから町に出て食事をしようと思っていたが 疲れていたし明日は帰宅 荷物の整理もある

惣菜とビールを買ってホテルに戻った

こんな調子である

その夜の嵐のことなんかは 知る由もなかった 


一口飲んでから写したビール ⇒   




唐招提寺の蓮池 寺には蓮が良く似合う

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夏の旅 §11.竹中大工道具館

2012年08月26日 | 日記
もう旅の記憶が曖昧になってきた

写真が無かったら 足取りがつかめなかったところだ

しかも ところどころ 時間の記憶があやふや

ただ あのあとに私が行った場所のことはよく覚えている


初めは行くつもりは無かった

けれども ある展示品が気になっていたので 見学することにした

それが竹中工務店創立の地に建てられている「竹中大工道具館」


伝統建築には欠かせない「継手・仕口」の説明とそのミニチュアが展示されており 手に取ってみることができるようになっているのだ

それに この流れる汗を止めて びしょ濡れの髪を乾かす場所にもぴったり

「仕口・継手」とは木材のつなぎ目に出っ張りや凹みを作り部材をつなぐ方法のことである

仕口とは角度をつけてつなぐ場合 同方向につなぐ場合を継手と呼ぶ

これがまさに匠の技


取れるかな とチャレンジ



垂直・水平方向に動かしても抜けない




この角度に引き抜くとするりだ




切り口はこうなっている




この複雑そうなのは




はずしても複雑









こう


そして他には






などがある

実物大はこうなる




そして



隅組(屋根の隅を組む手法)


おそらくは さまざまな角度からの力を計算し 歪みの計算をし(構造計算) もしかしたら木の性質やら美的なことも関係しているのかもしれないが どこにどの手法を使うかを的確に判断しているのだろう

和風建築ももっとこうした知識があれば 深く堪能できるのだろうと実感した

小さな子を連れた家族がいた

父親は大工なのだろうか それとも 日曜大工が好きな人なのだろうか

積み木と思って触るその子を無視して 大人げなく夢中になってはずしてまわった


旅を計画している時 どうしても見たいと思うものと 成り行き任せでいいかと思うものがある

前者は まず期待に裏切られることはない

後者には二通りあって やっぱりね って思うものと 想像以上に であるからこそ記憶に残るものがある

どちらにしても 行ってみなければわからない

無駄と思えることも 間(ま)だと思えばそれもまた良かろう

旅は まだまだ 続く
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夏の旅 §10.空腹と暑さに耐えて

2012年08月25日 | 日記
長かった夏休みも終わり 日常がもどってきた

学生の居ない今 通勤電車は幾らか空いているが 来月にはあの混雑もまた日常の顔の一つとなる

仕事もそれなりに忙しく ウィークデーにはほとんど何もできない私にとって 週末は雑用が目白押し

とはいえ 9月の声を聞く前に旅の日記を仕上げておきたい


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昼過ぎ 神戸元町商店街の中を抜けて JR神戸駅近くのファミリア(ベビー・子供服で有名)ビルを見に行く

旧三菱銀行神戸支店 コンドルの弟子である曽禰達蔵の作品

コンドルは岩崎家と縁深く 彼の紹介があって三菱に入社

水は流れるべくして流れる


1900年竣工というから、実に1世紀以上を経てきたことになるのに その割には堂々としたものだ

ただし ホールとして使われているというのに(情報は不確か)どこか寂しげな顔だった

よく見ると損傷があったり かつては付いていたと思われる照明も外れたまま

是非とも内部を見たかった


このファミリアの服は 多くの人が知っているだろうと思うが お坊ちゃん・お嬢ちゃん服である

私も昔 甥っ子に買ってあげたことがあるが このファミリアという会社の前身 4人の女性が戦後 生計のためと 幼児や子供に良いものを求めて作った会社であったことを 今回初めて知った

ファミリアといえばスヌーピー

ちゃんと居た! このビルの角に


神戸駅の近くにはランドマークとも言える真っ青な神戸クリスタルタワーがでんとそびえ立っている

色々な意味で面白い建物

神戸駅から元町まで JRで一駅戻る

どこかでお昼を食べたいと思いつつ なかなか適当な店が見つからない

いつもそうだが 夏休みの旅の上 お盆休みということも原因の一つ

お腹を空かせながら 兵庫県公館を見に行った

日曜なのでこれも内部を見ることはできない

今回の旅は どうもこれが多くていけない

いつかリベンジしなければ!


この近くにあるのは「相楽園」

小寺氏の本邸があった美しい和風庭園を持つ公園で ここに重文のハッサム邸と小寺家の厩舎があるのだ

歩いていると 朝と同じ街宣車の騒音

そして あの暑さの中 ロボコップのような身なりの機動隊の人々

おそらくあの制服の下は汗でぐっしょりだろう

日常的光景ではないらしいのだが 暑さが倍増する
 

お盆休みでしかもこの暑さの中 ここ「相楽園」を訪れる人はかなり少ない

まず見事な門をくぐり 受付でチケットを買ったあとに目に飛び込んでくるものは 樹齢約250年の見事な蘇鉄の木

少々怖いイメージのある木で 実はあまり好きではなかったのだが これだけの数の蘇鉄には圧倒される

もともと「蘇鉄園」と言われていたのもうなづける


この庭園は美しい 写真で見るとね

私は 自分の見たいものだけ見て さっさと後にしてしまったのだ

季節の良い頃ならばおそらく綺麗なのだろうが 何しろこの暑さに加えてハラペコ

のどはいつもカラカラだし すでに今日はもう相当の距離を歩いている


庭師の人が掃除をしている

丁寧に庭を掃き そこから更に木の葉だけを取り除き 土や石は戻すという作業を黙々とこなしている

いたるところで見る光景ではあるけれど 人の営みの中で掃除は欠かせない重要な仕事だと実感

私も家に帰ったら草取りしなくては




ファミリア本社の角にいるスヌーピー 麦わら帽子をかぶせてあげたい




厩舎です 立派です 贅沢です  

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