みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)加盟めぐって。

2011-05-11 18:56:42 | ほん/新聞/ニュース
昨日から雨が降りつづいてて、
夕方から、山県市にも「大雨警報」が出ている。

東京に行く前に咲いた、大輪の白い牡丹の花は、
雨が止んだら写そうと思っていたのに、あえなく散ってしまった。
苗を植えてから、かれこれ10年になって、初めて咲いた花なのに、
えーん、ザンネン。

花が大きいナオオデマリは、
地面にくっつきそうに垂れてきたので、
少し切り取って、片付けた薪ストーブの上に活けました。
牡丹は散ったけど、これでガマンしましょう。

このお花は、正確には「ビバーナム・スノーボール」(別名:セイヨウカンボク )。
オオデマリ(別名:テマリカンボク)とよく似ていますが、葉の形が違います。
こちらが、オオデマリ。  
木も花もおおきめです。

昨日、朝日新聞の社説を紹介しましたが、
もう一つの社説は、「ハーグ条約加盟」の問題。

社説:国際離婚条約―「加盟後」の姿が見えぬ 
2011年5月11日(水)付 朝日新聞

 国際結婚が破綻(はたん)した時の子の扱いを定めたハーグ条約加盟への検討が政府内で進んでいる。
 一方の親が16歳未満の子を無断で国外に連れ去った場合、元の居住国にいったん戻し、その地の手続きに従って子の面倒を見る者を決めようというのが条約の骨子だ。欧米を中心に締結を迫る声は強く、結論を出す時期は近いとされる。
 加盟国は80を超え、「日本人に子を奪われた」と問題になっている事例は約200件にのぼるという。国際社会における日本の地位や他国との協調を考えれば、いつまでも決断を先延ばしするわけにはいくまい。
 歴代政府が慎重だったのは、夫の暴力を耐えかねて子と一緒に帰国したという日本人妻が少なくないからだ。異国に戻り、不慣れな言葉や法慣習の下で主張を貫くのは容易でない。
 だが、子を連れ去られた側に視点を移せば事情は一変する。日本人がその立場に置かれている例もある。それまで暮らしていた国で関係を清算し、子の処遇を決めるという考え自体には一定の合理性がある。
 もどかしいのは、この問題が政治日程にのぼって相当の時間が経つのに、「加盟後」の姿が一向に見えないことだ。
 引き渡し要請がきた場合、どの機関が責任をもち、どうやってその子を捜し出すのか。条約は、子に「重大な危険」が及ぶ場合は返還を拒めるとするが、国内でどんな法律を制定して保障するのか。抵抗された場合、いかなる手段をとるのか。加盟諸国は実際どのように対応し、問題は起きていないのか。
 細部までの設計は無理としても、不明な点があまりに多い。海外に住む日本人の保護と支援は政府の重要な仕事だが、加盟後の取り組みも判然としない。弁護士らから「外交とりわけ対米関係を気づかうばかりで国民の方を見ていない」と批判の声が上がるのも理解できよう。
 この条約は一見、国境を越えた結婚をした人だけに関係するもののように映る。だが考えを進めていくと、離婚後の親子関係をどう築くか、子の意向をどうくむか、子の利益を最優先で考えるとはどういうことか――といった普遍的な問題が浮かび上がってくる。親権のあり方や養育費の支払い確保策など、国内の制度に将来影響が及ぶ可能性も否定できない。
 政策決定の過程で情報が適切に開示されない傾向が、民主党政権には往々にして見られる。親子や家族の間に深刻な混乱を招きかねないテーマだけに、十分な説明と手当てを求めたい。


この問題には関心があって、折りあるごとに記事を追っていたのですが、
ここへきて、子どもを連れ帰った日本人の女性を米国の男性が訴えて5億円賠償の判決が出て、
外務大臣が条約締結に前向きな姿勢を示すなどの動きがある。

米裁判所、日本人の元妻に5億円賠償命令 子連れ帰りで 
2011年5月10日 朝日新聞

 離婚した日本人の元妻が、米国から2人の子どもを勝手に日本に連れ帰ったとして、米国人男性(40)が元妻を相手に損害賠償などを求めた訴訟で、米テネシー州の裁判所は9日、元妻に610万ドル(4億9千万円)を支払うよう命じる判決を言い渡した。
 AP通信によると、賠償金額は男性の精神的苦痛などをもとに算出された。ただし、日本に住む元妻に直ちに判決の効力が及ぶ可能性は低い。判決後、男性は「子どもたちと再び会える環境をつくれるよう、元妻に考え直してもらうのが訴訟の目的だ」などと語っているという。
 元妻は実家のある福岡県に2人の子どもと帰国。男性は2009年9月、小学校に登校中だった子ども2人を無理やり米国に連れ戻そうとしたとして、福岡県警に未成年者略取容疑で逮捕されたが、起訴猶予処分となった。この事件は米国でも報道され、高い関心を呼んだ。
 米政府は、国際結婚が破綻(はたん)した場合には「ハーグ条約」に基づき、一方の親が勝手に子どもを国外に連れ出さないよう求めている。だが日本は同条約に加盟しておらず、国際問題に発展するケースが少なくない。
 昨年9月に米下院、今年1月にはフランス上院が日本政府に早期加盟を求める決議を可決するなど、欧米諸国は日本に対して加盟を迫っている。(ニューヨーク=田中光)


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ハーグ条約については、弁護士会が締結には前向きな姿勢を示しながら、
解決すべき問題も多い、と意見書を表明している。
いずれにしても、当事者である子どもの利益になるような方向性を出せないものかと思う。

「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」( ハーグ条約) の締結に際し,
とるべき措置に関する意見書(2011.2.18 日本弁護士連合会)


国際的な子の奪取の民事面に関する条約の批准についての意見書(2011.2.25 大阪弁護士会)


ニュースUP:ハーグ条約加盟を危惧する母親たち=社会部・酒井雅浩 

<おおさか発・プラスアルファ>
 ◇子の幸せ、十分議論を

 破綻した夫婦の子どもの扱いを定めた国際ルール「ハーグ条約」への加盟が外交問題に浮上している。欧米各国が早期加盟を迫り、日本政府が検討を進める中、加盟しないよう求める活動をする母親たちがいる。「当事者の会」を結成し、「加盟によって子の幸せを保障できるのか」と懸念する。その訴えを聞き、条約加盟について考えた。

 ■身を守るため
 「結婚生活が危機を迎えた時、母が子を連れて一時的に実家に帰る。日本ではよくあることも、条約に加盟すると禁止されます」
 昨年8月結成の「Safety Network for Guardians and Children」(略称SNGC)の代表を務める近畿在住の30代の女性は、そう訴える。約50人の会員はいずれも、国際結婚して外国に渡った後、夫のドメスティック・バイオレンス(DV)や、子への虐待から身を守るため帰国した日本人女性だ。
 代表の女性は、オーストラリア人男性と結婚。現在10代の長男が生まれ、オーストラリアで生活していたが、夫のDVが原因で長男を連れて別居し、帰国後に離婚した。
 元夫は離婚後、オーストラリアで長男の親権を求める訴訟を起こす。女性は、裁判費用や現地での生活費など約1000万円を親類からの借金で工面し応訴、「元夫の親権を認めない」との判決を勝ち取った。安心し帰国した後、現地で訴訟を担当した弁護士から思いもよらない連絡を受けた。元夫が再度、親権を求めて提訴し、出廷しなかった女性は敗訴。元夫に単独親権が認められたというのだ。さらに「あなたには現地の警察から『誘拐』の逮捕状が出ています」とも告げられた。
 オーストラリアはハーグ条約の加盟国だ。ハーグ条約は、子を養育する権利手続きは移動前の国で行われるべきだとの考えに立つ。日本も加盟すれば、「長男は連れ戻される」と女性は危惧する。加盟前にさかのぼって適用されないとの解釈が一般的だが、加盟後に元夫から帰国を迫られた場合、応じなければ条約の定めた不法行為とみなされる可能性がある。
 女性は現地に生活基盤がなく、元夫への嫌悪感もぬぐえないため、戻って再び裁判をしながら暮らしていくことは難しい。長男についても「就学前に帰国し、英語は話せない。長男の幸せはどうなるのでしょうか」と訴える。

 ■立証の難しさ
 1983年の条約発効当時、想定されていたのは、母に養育されていた子を、父が国外に連れ去るケースだった。しかし条約事務局が03年に行った調査では、連れ去りの7割が母親。DVや子への虐待が原因と考えられるという。
 条約には「元の国に戻った場合に重大な危険があるときは、裁判所は返還を命じないことができる」という例外規定がある。しかし、問題となるのが、DVや虐待の立証の難しさだ。判断には物証が必要とされ、連れ去った側に極めて高い立証責任が求められる。迅速審理を優先するため、例外の適用範囲は非常に狭く、母親へのDVは重大な危険と認められていない。SNGC代表の女性は「子どもへの虐待も、十分な証拠がないとして返還を命じられた例が数多い」と話す。
 背景にDVがあるとの指摘に対し、米国のキャンベル国務次官補は10年2月の記者会見で「実際に暴力があった事例はほとんど見つからない。大半は米国内で離婚し共同親権が成立しており、誘拐だ」と発言した。
 DVから女性を守る機関などは、海外にも存在するが、言葉の壁や、生活費などの問題で帰国せざるをえない、との指摘もある。

 ■「親権」にずれ
 外務省によると、これまでに外国政府から日本人による連れ去りを指摘された事例は米国100件、英国38件、カナダ37件、フランス30件にのぼる。
 欧米各国は連れ去りを誘拐とみなし、数年前から、日本の条約批准を「外圧」といえるほど強く要求してきた。今年1月、フランス上院議会が日本の条約批准を求める決議を可決。米のクリントン国務長官は日米外相会談の度に、早期加盟を迫る。政府は09年12月、外務省に「子の親権問題担当室」を設置。松本剛明外相は「東日本大震災後もしっかり国内作業を進めている」と外相会談で発言している。
 また、日本で暮らしていた外国人の親が、もう一方の親に無断で子を連れて母国に帰国しても、現状では連れ戻す手段はない。さらに、日本が条約に加盟していないことを理由に、海外在住の日本人母が、子を連れての一時帰国を許可されなかった例も報告されている。さまざまな問題の解決方法として、条約加盟を支持する意見も多い。
 こうした動きに「加盟は時間の問題」と危機感を強める女性は「メリット、デメリットを示して議論したうえで、国民が加盟を選択するなら仕方ない。でも、今は省庁の担当者ですら問題の本質を理解していない」と言う。
 日弁連は2月、加盟前に「DVや虐待事例は返還を拒否できるよう国内法を整備すること」との意見書をまとめた。兵庫県弁護士会も昨年末、「親の権利保護が第一とされ、子の利益への配慮が薄い」と国内法との整合性を問題視する会長声明を出した。「単独親権」で、親権のない親の面会権が制度化されていない日本に対し、加盟国は親権を両親が持つ「共同親権」の国が多い。条約の理念と日本の法制度の乖離(かいり)をどう解消するかも、制度化する必要がある。
 SNGC代表の女性は、帰国した理由を「現地では子を守ることができないため、やむを得ない選択だった」と話す。その上で「もし子どもが『父の元で暮らしたい』と言うなら、自分の気持ちは押し隠し、笑顔で送り出す」。この言葉が印象に残っている。
 条約に加盟した場合、運用を積み重ねることにより、国内の家族観にも影響を与えることは避けられない。まずは結論を出す前に議論を深めることが必要だと思う。

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 ◇ハーグ条約

 正式名称は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」。加盟国は、子どもを連れ出された親が居住国の政府に返還を申し立てた場合、相手国の政府は子どもを速やかに元の国に戻す協力義務を負う。現在84カ国が加盟し、主要8カ国(G8)で批准していないのは日本とロシアのみ。
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毎日新聞 2011年4月27日 大阪朝刊 



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