みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

境界を生きる:続・性分化疾患/2 女子校進学後、戸籍「男」に/3 成人後、女性化「パパは女?」

2010-11-03 09:36:35 | ジェンダー/上野千鶴子
昨日は、ともちゃんに岐阜駅まで送ってもらって、
名古屋から新幹線で一路東京へ。
最新の700系「のぞみ」だったので、座席にはAV電源もあるし、
車内でブログやツイッターもできます。

静岡を過ぎて富士川にさしかかった時、
窓の外に目をやると、大きな黒い影。
目の前に富士山が見えます。
山頂近くは白い雪、
あわてててデジカメを出して写しました。
   
名古屋は曇っていたので、
思いがけなく恋人に出会ったようで、うれしかったです。

神奈川県には行って見えていたので、窓に顔をくっつけて、
ずっと遠ざかっていく富士山を眺めていました。
   

東京は夕方のラッシュで混んでいて、
ぶらぶら遊んでいる雰囲気じゃなかったので、新宿に直行。

紀伊国屋サザンシアターには6時に到着。
予約券は受け取れたのですが、開場は6時半なので、
先にいらしていた弘さんと、高島屋の「タカノフルーツパーラー」ヘ。
   

7時からの、上野千鶴子さんと加藤陽子さんと森達也さんのお話に備えて、フルーツサンドとコーヒーで腹ごしらえをしました。

ここからは「撮影禁止」なので、デジカメはおしまい。

イベントは、って??
もちろん、刺激的でおもしろかった!
また報告します。

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ここからは、今週から再開された、
毎日新聞「境界を生きる:続・性分化疾患」の続きを紹介します。

  境界を生きる:続・性分化疾患/2 女子校進学後、戸籍「男」に 

◇性別空欄で出生届/学校側は治療に難色
 この夏、東日本の高校1年、空さん(15)=仮名=は、ずっと気になっていた出生時のことを母に尋ねた。母はこう教えてくれた。
 「あなたが生まれてすぐ、お医者さんに『男の子にするより手術が簡単だから、女の子にしましょう』って勧められたの。でもお父さんとお母さんは悩んで『このまま育てて、本人に決めさせたい』ってお願いしたのよ」
 空さんの体には卵巣と精巣がある。染色体は女性型と男性型が混在する「XX/XYモザイク型」。外見で男か女かを判断できなかったため精密検査を受け判明した。両親は性別欄を空欄にしたまま出生届を出した。医師は顔をしかめたという。
 最初のハードルは幼稚園に入る時だった。制服を男女どちらかに決めなければならなかった。体が弱かったこともあり、両親はひとまず「女」を選んだ。
 空さんは自分が男女どちらかを意識することもなく伸び伸びと育った。周囲にすすめられるまま、親族が卒業した中高一貫の女子校に進学した。
 ところが入学1年目の宿泊行事でいきなり問題が起きた。大浴場で自分の体を見た同級生たちが騒ぎだしたのだ。他の人と一緒に入浴したのはこれが初めてだった。「本当は男なんじゃないの?」。その後もヒソヒソとうわさ話をされているような気がして、楽しかった学校が突然居づらい場所になった。

「自分はみんなと違う」と気付いてから、次第に「自分を女とは思えない」という気持ちが強まった。中学2年のとき、母親に打ち明けた。突然のことに両親は戸惑ったが、生きづらさを覚悟のうえで性別を保留にしてきたのはこの日のためでもあった。わが子が「男」を選んだ決断に反対はしなかった。
 学校には入学前からこうなる可能性を説明していた。でも、いざとなると簡単ではなかった。「なぜこの学校に入ったのか」「お子さんの思い違いでは」。親子で呼び出されては、校長や理事長に厳しい質問を浴びせられた。
 話し合いを重ね、中学3年の春、通学を続けられることになった。両親は空さんの戸籍を男性と届け出た。
 そこから新たな問題が起きた。主治医に「すぐにでも男性ホルモンの補充を始めないと体に良くない。卵巣の摘出も急いだ方がいい」と言われたのだ。学校側に伝えると「あまり目立ってほしくない」と治療に難色を示された。8月からホルモン治療を始めたが、外見の変化を抑える程度にしているため、将来的に体に影響が出ないか不安だ。
 心の支えになっている言葉がある。中学で退学を考えた時、担任教諭がこう言って踏みとどまらせてくれた。「人にはそれぞれ個性がある。他の人が何と言おうと、ありのままのあなたで、この学校にいてほしい」
   *
 性分化疾患では性的な成長が進む思春期に深刻な苦しみを抱えることが多い。いじめを恐れながら学校に通い続ける精神的な負担は、並大抵ではない。
 「子どもたちの中に当事者がいることを認識してほしい」。奈良教職員組合は2月にセクシュアル・マイノリティーに関する教員向け冊子を作成した際、性分化疾患の説明を盛り込んだ。心と体の性別が一致しない「性同一性障害」は徐々に知られてきたが、性分化疾患は存在すら知らない教職員が多い。東優子・大阪府立大准教授(性科学)は「学校での対応を誤らないよう、教職員が正しい知識を持つことが必要だ。子どもたちにも『体の特徴は人それぞれ』と教えてほしい」と訴える。【丹野恒一】=つづく

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 ◇出生届の性別欄
 男女の見分けが難しい子が生まれた際、医師が拙速に性別判定する例が後を絶たない。法務省によると、届け出期限は原則、出生から14日以内だが、性別と名前は空欄でも出せる。性別は届け出後でも、診断書を提出して家庭裁判所に認められれば変更可能だ。

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 ◇ご意見、感想募集します
 〒100-8051(住所不要)毎日新聞生活報道部「境界を生きる」まで。ファクスは03・3212・5177、メールはkurashi@mainichi.co.jp
毎日新聞 2010年11月2日 東京朝刊 


 境界を生きる:続・性分化疾患/3 成人後、女性化「パパは女?」 

 ◇揺れる性別、「どう生きるか」模索 「お父さん、本当は女なんでしょ?」。小学4年生の一人娘が無邪気に聞いてくる。感覚的に分かるのか。これ以上「パパ役」を演じ続けるのは無理なのだろうか。
 神奈川県に住むエンジニア(44)は6年前、思いがけず自分の疾患を知った。学生時代の持ち物を取りに実家に戻った日のこと。子どもができて自分自身が未熟児だったと思い出し、母に何気なく聞いてみた。「母子手帳、まだある?」
 母はうつむき「小さな体にメスを入れていいのか、すごく悩んだんだけど……」と小声で話し始めた。出産直後、医師に「お子さんには男女両方の特徴がある。どちらにもできますよ」と言われたという。「男がもてはやされる時代だったから、男の子にしてもらったの。女の子のほうが良かった?」。母子手帳は出てこず、母に促され実家を出た。
 暗い帰り道、涙をこらえきれず、川辺に長い間座り込んだ。
 思い当たることはいくつもあった。10代のころは筋肉質のスポーツマンだったのに、20歳過ぎから柔らかな体つきになった。性交渉は嫌いで、職場結婚した妻(39)とは子どもを作ろうとした時だけ。30代半ばからは胸が膨らんできた。「不思議な現象のかけらが一つにつながり、パズルが完成したようだった」が、喜べるはずもなかった。
 その日から周囲が違って見えるようになった。容姿、仕草、心。誰もが「男らしさ」「女らしさ」で輝いている。「こんな中間の人間は自分だけだ」と孤独感に襲われた。
 どんな疾患で、どんな手術を受けたのか。生まれた病院を訪ねても記録は残っていなかった。検査を受け、染色体が男性型であることは分かった。それ以上知るのは怖かった。
 救いは、妻があっさり受け入れてくれたことだった。「大丈夫。結婚前から男半分、女半分の人だと思っていたから」。自分は以前から家事が好きで、家族を引っ張るのは苦手。専業主婦の妻は冗談めかして「私が働こうか」と笑った。
 女性化が進んだためか、腕力が衰え、体が覚え込んでいた力仕事が難しくなってきた。迷惑をかけぬよう同僚には事情を説明し、理解してもらっている。
 女性的と言われるのが嫌だったのに、最近は「これは個性だ」と前向きにとらえている自分に気付く。「今の気持ちは男性と女性が半々。自分でも戸惑うことは多いけれど、本心を押し殺さず堂々と生きることが、いつか同じような人たちの力になると信じたい」
     *
 心の性別もはっきりしないことがある性分化疾患。男女に二分された社会の中で、悩み、迷いながら自分を見つける人たちがいる。
 「自分がえたいの知れないもののような気がした」。東京都の田中彩さん(24)は男の子であることに小学2年生のころから違和感があった。中学に入ると胸が膨らんだ。うれしさの一方、男を演じるつらさが募った。
 大学に入り、初めてメンタルクリニックを受診した。診断は心と体の性別が一致しない性同一性障害。さらに、男性的な発達が不十分で胸が膨らむこともある性分化疾患「クラインフェルター症候群」とも分かった。医師に「あなたは女性的な体なんだよ」と言われ、背負っていたものを下ろした思いがした。
 しかし、当事者の集いに参加しても、同じ診断を受けた人は見つからない。「どう生きていけばいいのか」。女性として暮らす決意をしたが、両親の理解は得られず、仕事のストレスも重なりうつ病になった。
 一度は職を失ったものの、今年9月、服飾関係の企業に障害者雇用枠で再就職を果たした。「男と女、どちらでもない中間から少しずつ女性の体に近づいていけるといい。生まれてきたからには、一生懸命生きる」【丹野恒一、五味香織】=つづく

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 ◇ご意見、感想募集します
 連載へのご意見や感想、体験をお待ちしています。〒100-8051(住所不要)毎日新聞生活報道部「境界を生きる」まで。ファクスは03・3212・5177、メールはkurashi@mainichi.co.jp
毎日新聞 2010年11月3日 東京朝刊 



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