熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

AIによる創作の保護

2020-01-10 21:23:15 | 知的生産
AIにより創作された創作物の保護が議論になっていますが、この議論に関係する裁判が二つありました。

一つ目は、AIを発明者として認めるか否かが問題になった裁判です。

欧州特許庁(EPO)は、人工知能(AI)を発明者とする2件の特許出願を却下しました。

特許2件「EP 18 275 163」と「EP 18 275 174」はそれぞれ、先進的な表面形状を有する食料容器と、救助の要請時に「より注意を引くための(光を用いた)デバイスと手法」と説明されており、「DABUS」(Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience)を発明者として出願されていました。

現時点での規則では、企業が実務上の発明者としての権利を独占できないよう、特許の出願には発明者として人間(自然人)が関与しなければならないとされています。

このため、AIが何らかの「所有権」を持つという考え方は、従来のスタンスと対立するものとなっています。

同チームは「発明は自然人に制限されるべきではない」と主張するとともに、「もしも機械を自然人だと捉えた際に、発明者(としてのその他)の基準を満足できるのであれば、その機械は発明者としても認められるべきだ」としていますが、今回は、この主張は認められませんでしたね。


二つ目は、AIを著作者として認めるべきか否かが問題となった裁判です。

中国の深セン市南山区人民法院は、「AIによる作品は著作権保護の対象になる」と判示しました。

許可なくAI「Dreamwriter」による文章を盗作した件についての裁判は、AIによる作品の最初の裁判ととなり、AIを著作者として認められました。

ヨーロッパと中国という異なる地域、発明と著作という異なる創作対象なので、まだ明確な結論は出せないでしょうが、参考になる裁判ですね。




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