夜半から明け方に雨。湿気が多く、蒸し暑い。
その分、畑は適度に湿り、キュウリ、ズッキーニが好調だ。葉は日を受けるように競って上に向かって背伸びをするようだ。数多くの花が咲き、次々と実をつける。
豆の秘伝を植えるため、連結のポットを買う。ポットに種を蒔いて発芽させ、ある程度成長してから定植する。ことしの旱魃気味の陽気では、これがベストの選択のように思える。
今日収穫したズッキーニだ。適度の湿気で実の成長は早く、きのう小さかったものが、きょうはもう大きすぎるくらいに成長している。
ズッキーニを美味しく食べる秘訣は、火の通り具合にあると、教えてくれたのはもう故人になった丸元淑生だ。数ミリの厚みに輪切りしてオーブンにかける。火の通り具合は、中心にある種の部分で見分ける。ここがはっきりと現れてきたときに火を止める。
もう20年くらい前のことになるが、料理に関して興味をいだくようになったのはこの人の料理本を読んでからだ。
ラタトウユの紹介があったのでぜひこの料理を作ってみたくなった。ここは田舎町なので、食材の入手に骨が折れた。
どの八百屋にいってもズッキーニなるものがない。さんざん探して見つかったのは、百貨店の野菜売り場であった。その当時の価格で、ズッキーニ1本が300円、パプリカ1個200円くらいであったと思う。男の料理は金がかかると敬遠されるが、このラタトウユは実に高くついた。コリアンダーやバジルなどの香辛料を知ったのも、この料理のおかげだ。
高くついた男の料理であったが、この経験が畑で野菜を作る動機になっていることを思えばけして無駄ではない。食べてみたラタトウユの味は最高で、食材の存在すら知らないものが作った料理とは思えないほどの出来栄えであった。