常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

向日葵

2012年07月22日 | 詩吟


季節外れの寒い日が2日ほど続いてたが、きょうは晴れて気温は27℃まで上がる。
異常気象とはいえ、その季節には咲くべき花が咲く。暑い季節に似合う花は向日葵である。この花が咲くと、映画「ひまわり」を思い出す。ソフィア・ローレンとマストロヤンニが主演する、戦争に引き裂かれた夫婦の非情な運命を描く悲恋の物語だ。

終戦を迎えても帰って来ない夫を探しに、妻はソ連の地を踏む。その地で妻が見たものは、見渡すかぎりに咲くひまわりの花であった。そして夫を探しあてるが、心配していた戦争で負傷した夫ではなく、その地で結婚して妻と子と暮す想像もできない夫の姿を見ることになる。美しい音楽が全編に流れ、夫婦の再会シーンは涙を誘う。

山形岳風会の吟道講座が山形ビッグウィングのホールで開催された。
講師になった河野岳景先生が選んだ課題は前田夕暮の和歌「向日葵」であった。先生はこの頃はあまり向日葵を見なくなったが、今度の講演の途中で大きな向日葵に出あった感動を話された。軸の太さは直径5センチはあったという。夢中でその向日葵にカメラに向けたと、話された。

向日葵は 金の油を 身にあびて ゆらりと高し 日のちひささよ

金の油はぎらぎらと輝る夏の日をさしているだろう。向日葵の花は大きく重い。その花をゆらりと高しと表現すると、もはや太陽は背景に去って小さくしか写らない。
向日葵をこんな風に詠まれると、この花とのかかわりが次々と浮かんでくる。子供たちがまだ小学生であったころ、夏休みに絵日記の旅で飛島を訪れていた。花が終わりもう重くなって頭を垂れている向日葵を見つけると、娘は巧みに実を採って食べた。

親は子に向日葵を食べることなど、教えたことはない。子供たちは新興住宅地の空き地を駆け回り、友達と遊んでいた。そんな遊びのなかから、いろんなこと知り、覚えていったであろう。タンポポやツメクサの花を編んで首飾りにした。蛇や蛙を見つけると、すぐに捕まえてきた。捨ててある猫を連れてきて、飼って欲しいと頼みこんだことも一度や二度ではない。

前田夕暮が斉藤茂吉らとの交流のあった歌人であることへも話が及んだ。短歌の勉強をしながら、昔の自然や子供たちの姿を思い浮かべる楽しい一日であった。
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