この冬一番の寒波が入ってくる。外を見るとま
だ変わった様子は見えないが、午後から気温が
下がり、明日にかけて雪になるらしい。雪不足
を懸念していたスキー場も、安堵の心境ではな
いだろうか。だが、一旦寒気が入ったあとはま
た季節が戻り、どうやら、この冬は暖冬で経過
するらしい。
部屋のエアコンのフィルターを外し、たまった
埃を掃除する。ストーブを用いず、この冬一台
のエアコンで春を待つ。
寒い壁に囲まれて読む出エジプト記 有馬朗人
読む本は再読が多い。本棚でふと目にとまった
中山義秀の『芭蕉庵桃青』。芭蕉が俳句の宗匠
として出た江戸は、西山宗因の亡き後、新しを
求めて乱れた。昨日称賛された句が、明日には
古いものになる流行の世界が続いた。江戸の大
火が芭蕉の草庵を焼き払う。甲斐の高山麋塒の
家にここのかかり人となった。ここで蕉風の目
を開いていく過程が面白い。
馬ぼくぼく我を絵に見る夏野哉 芭蕉