常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

冬晴れ

2018年12月19日 | 斉藤茂吉

冬の空は時々刻々と変わっていく。青空に

朝日を受けた受けた雪山は、神々しい輝き

を見せる。それから一時間も経たないうち

に雲が出て、空も山の頂を隠していく。人

はこんな光景を見ながら何を思うのであろ

うか。それはその人が置かれている環境、

時代、年齢などの条件によって千差万別で

ある。

山々は白くなりつつまなかひに

生けるが如く冬ふかみけり 茂吉

昭和20年4月、斎藤茂吉は、空襲に明け暮

れる東京を逃れて、郷里の上山市金瓶に疎

開した。その8月には敗戦を迎え、その冬、

生家から見える山々の景色に深い感慨を覚

えている。山々は、敗戦によって傷ついた

茂吉へ、あたかも生きている人間の如くに

語りかけたであろう。白くなりつつ、とい

う言葉には、雪景色の美しさに加えて、白

髪となっていく、自らの老いの姿がある。

故郷の山の姿は、時とともに装いを変え、

厳としてそびえることで、人に色々なこと

を教えてくれる。

コメント
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