気温が下がって家にいる時間が長くなっ
た。ベランダからの山の雪景色は、朝日
をうけて、尾根や谷の存在をくっきりと
知らせてくれる。ベランダから撮った写
真で雪の山を思い出す。読む本は引き続
いて『芭蕉庵桃青』。鈴木清風が芭蕉や
その弟子たちを招いて、清風亭百韻連歌
を詠む辺りにさしかかっている。
冬ごもり壁をこころの山に依る 蕪村
蕪村は画家でもあった。彼の描いた「夜
色楼台雪万家図」は、重く垂れこめる夜
空の下に雪を被った山々が連なり、その
麓にひしめく藁屋根の万家。その家にひ
とつひとつにこもりながら夜を過ごす人
々がいる。
蕪村のように絵を描くこともできず、せ
いぜいカメラを向けて雪景色を撮り、パ
ソコンに向かって日記を綴る。これが私
の冬ごもりである。