紫陽花
2020年07月02日 | 花
霧雨に紫陽花の花が濡れていた。日にあたっているより、雨の中の方がその色合いが際立って見える。アジサイの語源は、ものの本によると、「あじ」は集(あづ)で、ものが集合すること、密集すること、「さ」は真(さ)で、「い」は藍(ゐ)で集真藍(あづさゐ)という説明が漢和辞典に出ているという。いかにも、花はびっしりと密集していて、家の繁栄の象徴のように思われてきた。万葉集に
あぢさゐの八重咲くごとく八つ世にを
いませ我が背子見つつ偲はむ(巻20・4448)
とあるのは、次々と色をかえて咲く紫陽花のように、末永く元気でいらして、この花を見ながらあなたを偲んでいますよと、とやや揶揄をこめた歌になっている。
茅の輪が、夏越の祓に用いられているように、紫陽花にも同様に用いられた過去がある。自分の家の門に、紫陽花の切り花を結わえて下げて魔除けにした。同時に子孫繁栄、豊作を祈る季節の風習でもあった。