
日帰り温泉の受付に大きな七夕飾りが出された。そういえば今日は七夕である。古来、祀られてきた七夕は、陰暦の7月7日であって、実は立秋を過ぎた秋の行事であった。乞巧奠(きっこうてん)という古代中国の行事では、7月7日夜になると、庭先に供え物をし、その前で女性たちが五色の糸を7本の針に通して、手先が器用になることを祈願した。機織りは女性の大切な仕事であった。糸を編んで布とし、衣服や夜具など生活の必需品をつくための女性の切実な願いであった。
日本に伝わって、竹笹に願い事を書いた短冊を下げる星まつりは、日本の風土の独特な風習となった。
七夕や昼あをあをと湯屋の澄み 秋元不死男
野には八丁とんぼが飛び、水辺に蛍が光る季節である。7月になったばかりなのに、季節ばかりが先を急ぐ。もう季節の先取りは止そうと思う。今日一日、そのなかのひと時、ひと時を大切に生きる。天才藤井7段の時間の使い方が、立派に見える。