親水公園を歩いていると、どこかで見たような花、そして葉。まぎれもなく、畑で育てているナスの花の色違い、葉もナスの葉であるし、あちこちに棘が出ている。せせらぎの土手に、まき散らしたように繁茂している。家に帰ってネットで検索してみると
「ワルナスビ」とある。命名はかの牧野富太郎博士、繁殖力が強く駆除するのもやっかいなので、有害注意外来種に指定されている。その実は黄色く熟するが有毒で、害虫を呼び寄せるとのこと。散歩で見た花に、こんな特徴があることを知って驚いた。
戸外は好奇心をひくものが溢れている。山のなかで咲く花に興味を持つ人も多い。西洋では学校は寄宿舎を伴っている。週末には学生たちは寄宿舎を出て遠足に行く。そこで目にした自然は子どもたちの興味を引くものの宝庫であった。貝殻、石ころ、昆虫、植物。どれもこれも初めて目にするものは子どもたちの興味のまと、これを観察する目が、学問の基礎となる。貝殻や昆虫など興味あるものの蒐集、そして観察。博物学は、これら寄宿舎の生徒たちの興味から始まったと言える。
そこから少し歩くとノウゼンカズラの花がもう咲いている。空には梅雨の中休みの陽がまぶしい。明日からは東北南部で大雨の予報。磐梯山への山行は中止になった。ノウゼンカズラにも牧野博士の解説がある。
「茎は他物に攀縁して気根を出し高さ数丈に及ぶことあり、葉は対生し羽状複葉をなし、小葉は卵形にして鋸歯あり、7、8月の候黄赤色の大花を開く、有毒成分を含む」
この記述を読んだだけで、博士の観察眼の鋭さが伝わってくる。戸外に出て、好奇心を刺激されることは、心に若さを保つことの秘訣でもある。