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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

新緑の藤倉山

2022年05月08日 | 登山


藤倉山は鶴岡市三瀬の里山である。標高は651mに過ぎない。だが三瀬駅から田圃のある集落をぬけて、獅子畑の登山口に向かうと、車一台がやっと通れるほどの狭い林道を行く。すでにGPSのナビも終わり、登山口がどこにあるのか心細い行程となった。所々に、ようこそ藤倉山への看板が見え、やっとの思いで登山口に着く。連休も終わった7日、絶好の好天に恵まれ、参加者16名にとって新緑に浸る一日となった。

登山口から急な坂道を、ジグザグに切られた山道を行く。道は腐葉土でふかふかとして柔かい。新調した「ホッカオネオネ」の山靴が、丁度道にフィットして歩きやすい。朝からすでに20℃を超え、軽装にもかかわらず歩き始めてほどなく汗が出てくる。高度を稼いで、1時間ほどで中間点の展望台。高度500mほどで、山中はブナの深緑である。早春の花は終わりを告げ、この山中ではブナの深緑が主役となった。これほどの緑のなかに身を置くと、歩く人間も山中に溶けこみ一体化している。ブナの葉と同じように陽の光を浴び、風に吹かれる。飛ぶ蝶は、春の妖精ギフチョウ。

新緑の風にゆらるるおもひにて 飯田蛇笏
頂上への道脇に、所々に辛夷やタムシバの純白の花、足元にイワウチワの花が咲き残っていた。頂上の景色のいい場所を選んで昼食。庄内の山のもう一つの楽しみは海の眺望である。由良の海岸が見え、八乙女のホテルの姿も懐かしい。冬、海を渡る風が、高度の低い山にも雪を降らせ、ブナを生育させる。蔵王では高度1000m位に生育するブナが、ここでは500mでかくもみごとな美林となる。山中で我々のグループ以外の人は数名であった。多くの人であふれる名山でなくとも、人知れず佇む里山にも、これだけ豊かな楽しみがある。
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