常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

2022年05月15日 | 日記
タンポポの綿毛が風を待っている。吹かれた風に乗って、種を少しでも遠くに運びたいからだ。この時期、戸外に出て深呼吸がしたい。厳しい山堂で冬を過ごした良寛は

むらぎもの心楽しも春の日に
 鳥のむらがり遊ぶを見れば 良寛

春の喜びを詠んだ。風のなかで、鳥や花を愛で、自然と一体になることで人は生きる喜びを感じる。堀辰雄の『風立ちぬ』にも、「風立ちぬいざ生きめやも」の詩の一片が巻頭にある。

もうひとつかみしめてみたい谷川俊太郎の詩。


風が息をしている
耳たぶのそばで
子どもらの声をのせ
みずうみを波立たせ
風は息をしている

虫が息をしている
草にすがって
透き通る胎を見せ
青空を眼にうつし
虫が息をしている

星が息をしている
どこか遠くで
限りなく渦巻いて
声もなくまたたいて
星が息をしている

人が息をしている
ひとりぼっちで
苦しみを吐き出して
哀しみを吸い込んで
人が息をしている
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