高齢になっても少しずつ賢くなることはある。以前から気になっていた親水公園の道路わきに咲く花の名を検索してみた。アベリアとある。別名、つくばねウツギ。春に咲くツクバネソウとは異なっている。この夏に覚えたノリウツギとこのアベリアとで二つの花の名を覚えることができた。人から教えられた花の名は、殆ど自分のなかに定着しない。こうして、気になった花を検索することではじめて定着できる。
バスガール家路も花の煙草畑 飯田龍太
昨日、ブックオフで、福田甲子雄の『飯田龍太の四季』という本を買った。飯田龍太は山梨県の俳人で、父蛇笏の四男である。著者は龍太の門人で、飯田蛇笏から龍太に引き継がれた俳誌「雲母」の編集同人であった。龍太は山梨という自然豊かな環境で、戦後の伝統俳句の中心的存在であった。
この本には、戦後、まだまだ貧しい国の自然の移変わりや当時の世相も詠み込まれていて興味深い。バスガールという職業は、終戦直後の日本では花形のであった。飛行機のスチュワーデスやデパートのエレベータガールのようでもあった。このバスガールが帰っていく家路の脇は煙草の葉が育っており、今やその花盛りである。煙草の淡紅紫の花とバスガールの華やかさが、戦後の世を華やかに彩っている。
福田は龍太の句の特徴を「四季自然の推移を五感のすべてを使って表現していることと、子供に慈愛のこころもって接している」と語っている。一句読むごとに、あの時代の追憶が心のなかに、そっと立ち上がってくる。