常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ウメとマンサク

2023年03月01日 | 

昨日からすっかり春の陽気になった。つけ放しにしていたエアコンの暖房を切り、外の散策にひと汗かく季節だ。親水公園の川原に、ウメとマンサクが咲いていた。マンサクはおそらく2、3日前に咲いたのだろう、満開の様子である。昨日、テレビの天気検定で、現在の梅の最北の開花が新潟と言っていたから、ここの開花はその北での開花ということになる。もっとも、開花は気象庁が決めた標本木が咲いて初めて宣言されるので、新潟より北に咲いていても不思議はない。

春さればまづ咲くやどの梅の花
 ひとりみつつや春日暮らさむ 山上憶良

天平2年正月13日(新暦では2月8日頃)、太宰の帥大伴旅人の邸で、ウメの花を愛でる宴が開かれた。当時、ウメは中国からもたらされ、日本人には珍しい花であった。太宰府の高官が、長官の家に集まり、庭に咲くウメの花を歌に詠み、盃を交わした。憶良は長官の妻が、宴の2年前に帰らぬ人となり、かって二人で愛でた梅を今では、独りで愛でなかればならないという愛惜を歌にこめている。春にさきがけて咲くウメの花は、こんなにも昔から、人の心を慰めてきた。今年初めてみるウメの花に、感慨を覚える。

マンサクと言えば、山中の雪の上で開く黄色い花だが、里では紅い花も植えられて、春を告げる。寒い日、ここまでも来ない内に、いつの間にか花を開く。写真におさめると、いかにも今年の豊年を告げる、縁起の花だ。3月の区切りの日に、この花に出会うのは、幸運を告げられたような気になる。


コメント (2)
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