
先日、孫たちが来たときの話。ひ孫の一歳の誕生日に絵本をプレゼントすると、言ったら「あらあ、この子絵本大好きよ。絵本は見せただけでニコニコだから。」と大喜びだった。サプライズ効果を狙った発言だったが、はずれてしまった。上には上があるらしい。北村薫の『詩歌の待ち伏せ』を読んでいたら、プリガフォンというものがあるらしい。まだ赤ちゃんが胎内にいるとき、これを母のお腹にあてて、赤ちゃんとお話をする道具だ。夜毎、胎内の赤ちゃんに向かって歌を4、5曲歌い、絵本を読んで聞かせた。その効果がすごい。
その父の話を聞いた幼児は、生後3ヶ月で、読み聞かせた本に目を輝かせ、生き生きとした反応を示したという。北村薫は言う。「幼い頃に接する本というのは特別な輝きを持っている」この黄金の幼児の期間をすぎると、その輝きは次第に失われていく。どんな本をひ孫におくるか、ちょっと難しい問題をかかえたような気がする。
こんな話がある。父親が帳簿の仕事をし、疲れてしんどくなると、娘が父の仕事を内緒で手伝うという話だ。仕事がはかどらなかったのに、何故か帳簿つけがスムーズになっている。父が喜んでいる一方で、寝不足の娘は疲れて母から注意を受ける。家中に暗い空気が流れたが、娘が父を助けていたことが知られると、家中から感謝される。母からに娘へのご褒美。焼きリンゴ。まだ眠っている娘に、甘い焼きリンゴの匂いが流れて目を覚ます。ここで絵本のお話のおしまいになる。こんなほほ笑ましい話の絵本を送ることができたらうれしい。
今日の戸外。親水公園の草むらに萌えるツクシ。ハサミ持参で収穫する。もう20年も前だが、奈良から来た親戚の叔母さんが、最上川の土手に出たツクシを夢中でとっていた。聞くと、収穫したツクシはハカマを取って、湯がいたあと佃煮にして食べるという。以来、春がくるとツクシを採って佃煮を作る。シャキシャキした食感とほんのりとひろがる苦味。年に一度味わう春の味覚だ。