二条通を鴨川から東にトコトコ歩いていたミモロ。二条郵便局のそばの南に続く道沿いに、古い構えの立派な町家を見つけました。
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「折箱 谷為」と書かれた看板…「折箱ってなんだろ?」と、ミモロは、お店の前に飾られた品に近づきます。
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「へぇ、こういう専門店もあるんだ~」とミモロは、興味津々。入口にかかる暖簾の隙間から中をそっと覗きます。そんなミモロに気づいて、「どうぞ、中に入ってみてください…」とお店の野村さんと木村さん。「え~いいんですか…では、お言葉に甘えて…」と、さっそく中へ。
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店の中には、いろいろな使い込んだ機械が置かれています。「さすが歴史を感じる…」
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もちろんお店の中自体も、古い風情が漂います。このお店の創業は、明治33年(1900)。黒光りした柱や梁が、過ぎ去った時を物語ります。
壁沿いに製作中の折箱が積まれています。
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『折箱』の起源は、古く聖徳太子の時代からとか…。朝廷の献上物をのせるために使われた木の台紙がそのルーツとか。一度しか使わない貴族の「神聖なる器」として重宝されたのだそう。その後、安土桃山時代には、「携帯する食物の容器」として使われ始め、江戸時代には、芝居の幕間に食べる幕の内弁当の箱として、庶民に普及します。
さらに折箱が、身近な存在になったのは、駅弁の発達も影響しています。今は、プラスチック製の容器が主流になりましたが、駅弁は、昭和には、ほとんどが木の折箱に入っていました。開けると、木の薄い蓋の裏に、ご飯がくっついて、それを取りながら食べたものです。
「あ、まだ『崎陽軒』のシュウマイ弁当って、本体は、折箱だよね」と、突然ミモロが思い出しました。そう、少し前までは、全体が木の折箱でしたが、今は蓋は、紙に変わりました。でも、本体は、木の折箱のまま。ミモロが大好きな駅弁です。
食べ物を折箱に詰めるというのは、日本独自の食文化なのだそう。つまり折箱は、唯一日本にだけある携帯用食品容器なのです。
「ところで、なんで折箱って言うの?木箱じゃないんだ~」とミモロ。
「箱の側面部分に、切込みをつけて、折ることから折箱ってよばれるんですよ」
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別の場所では、折った側面を底になる板に接着する作業が、進んでいました。
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「全部手作りなんだ…。お弁当食べた後、捨てちゃうのもったいない気がしてきた…」
ちなみに折箱に使われる木は、建築用資材の再利用や間伐材などが使用されているそう。
「資源の有効利用にもなってるんですよ」と。現在は、国産の木だけを使用。
入れるものによって、その大きさも、深さも異なります。
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京都では、お弁当の種類も豊富。折箱の需要は高いそう。
国内産のヒノキ材を使って作る折箱。でも、最近は、発泡スチロール製のものが増えているそう。
「ヒノキ材は、食べ物が腐るのを防ぐ働きがあるんです。だから高温多湿の日本では、重宝されてきたんです…」と。
「やっぱり木の折箱に入ったお弁当の方が美味しそうな感じがする…」とミモロ。
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「今度どこかに行くとき、折箱にお弁当入れたら素敵!あの~一つでも買えるんですか?」とミモロは、秋の紅葉狩りに持ってゆくお弁当を想像します。「きっと折詰にしたら、みんな驚くかも…ウフフ…」
「はい、もちろん、いくつでも買えますよ…」と。ぜひ、お店で選んでみてください。「普通のお弁当も、こん素敵な折箱にいれたら、すごく豪華に見えるかも…」とミモロ。「大きいの選ぼう…」「重箱もありますよ…」
めったにお弁当を持ってゆかない人には、折箱のお弁当箱がおすすめ。「おむすびだって、美味しくなるよね…」ちょっと大人の洒落たお弁当です。
さて、古い町家には、珍しく地下室があります。「ここなぁに~」と覗きこみます。
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「そこは作業場です。昔は防空壕だったんだそうです」と。「へぇ~京都のおうちにも防空壕があったんだ~」
「今度、また折箱買いに来ま~す」と、ミモロ。お店の前に、ヒノキ材の破片が…お風呂に入れてヒノキ風呂にどうぞ…。と書かれた札が。「え~もらっていいの?」「はい、どうぞ…」
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*「折箱 谷為」京都市左京区新東洞院町251 075-771-2727
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