ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

京料理の美味しさを支える昆布や鰹節など。手すきのおぼろ昆布の五条坂「京昆布舗 田なか」。

2014-09-07 | グルメ

昨夜、ちょっと贅沢な夕食をいただいたミモロ、「え~これからしばらく、カツ節ご飯だって…痩せちゃうかもよ~」と、質素な食事を心配しています。
美味しい鰹節なら、きっとご飯も進むはず…というので、お買い物に出かけました。
 
向かったのは、五条坂にできた「京昆布舗 田なか」。実は、このお店は、ミモロが住む東山にある「古川町商店街」に本店があります。でも、工房があるというので、五条坂のお店に…。
「ミモロちゃん、よくいらっしゃいました…会えるの楽しみにしてたんですよ」と、店主の田中昌宏さん。

清水寺に続く坂は、観光バスや車が、駐車場を目指し、観光シーズンには大渋滞になる道。その道から、ちょっと路地に入ったところに、町家風のお店があります。
店内に一歩入ると、「なんかいい香り…クンクン」そう、昆布のあの旨みが、ミモロの鼻をくすぐります。
  
棚には、袋詰めされた品々がいろいろ。「なんだろ…」とミモロは、興味津々。

 
「おだしを取る利尻昆布だ~」北海道産の利尻島を中心に収穫された「本利尻昆布」。京料理には、欠かせないもの。

店主の田中さんが、このお店をはじめたきっかけも、日頃食べる食事に欠かせないだしに関心を抱いたから…。
「京都のだし文化は、北海道から北前船で、敦賀に入った産物が京都に届いて発展したんですよ」と。「京都と北海道って、船の航路でつながってたんだ~。だから京都の人って、お昆布大好きなんだ…」

「あ、白いとろろ昆布がある…ミモロ大好き…」
 「それはおぼろ昆布です」と田中さん。「え?とろろ昆布とおぼろ昆布って違うの?」とミモロ。
「幅の広いおぼろ昆布は、昆布の表面を漉いて作ります。一方、とろろ昆布は、昆布を重ね圧縮して、その側面を削ったもの。だから細いんですよ」と。つまり、昆布の前面を使うのがおぼろ昆布、側面を使うのがとろろ昆布。料理によって使い分けます。

「ミモロちゃん、ここでは、おぼろ昆布の手すきを見ていただけるんですよ…見ますか?」「はい、もちろん…」と、二人は店の奥の作業場へ。 
  
さっそく田中さんが、おぼろ昆布の手すきを見せてくれました。
酢漬けした昆布の表面を、幅の広い包丁のようなもので、サッサとそいでゆきます。「う!速い…」

「でも、昆布って黒いんじゃないの?ここのは、白い…」と不思議に思うミモロです。
昆布の断面は、一番外側の黒い表皮、そして次に太白地という白い部分が現れます。ここがこのお店のおぼろ昆布になるのは、この白い部分だけ。お酒で言ったら、大吟醸なのだとか。

削られたフワフワした薄い昆布は、美味しそう…。思わず見つめるミモロです。

「ミモロちゃんもやってみますか?」「え~いいんですか」「はい、特別…」といういうことで、ミモロもおぼろ昆布づくりに挑戦。専用の草履をはいて、大きな漉き包丁を握ります。
「う~動かない…重い…」なかなかすぐにはできない作業…。手すきの技は、なんと100年ほど続く伝統の技。熟練の職人さんたちが行っていたのです。

実は、田中さんが、おぼろ昆布のお店を始めようとした理由のひとつは、おぼろ昆布の手すき職人さんの後継者不足を知ったから。15年前に比べると、現在、手すき職人の人数は、三分の一に減少、しかも、その70%が高齢者です。「この技を途絶えさせないよう、今のうちに学んでおこうと、職人さんのところに通いました」と。

「わーよかった、田中さんみたいな若い人が、伝統の技を学んでくれて…じゃなきゃ、食べられなくなっちゃうもの」とミモロ。また、ミモロが、触らせていただいた包丁も、特殊なもので、それを売っているところも少ないそう。
「毎日、研ぎますから、すごく鋭いので、手を切らないように気を付けてくださいね~」と。「もう、ダメ…包丁重くて…ミモロ、食べる方に専念します…」と、作業をギブアップ。

「あの~昆布は、どこまで削るんですか?全部削ってなくなっちゃうんですか?」とミモロ。ケーキの端とか、ドーナツの穴のところとか、本筋ではない部分が気になるミモロ。

「これが、昆布の中心部分です」

おぼろ昆布を削ったのち部分は、鯖寿司などの上にのる「白板昆布」になるのだそう。
「だから削り過ぎると、穴が開いてしまって、『白板昆布』になれないんです」と。
手すきの職人さんが減って、この「白板昆布」の生産にも課題が生まれているそう。白板昆布だけ作るわけには、いきません。「これって、おぼろ昆布の副産物だったんだ~」さすが京都、決してなんでも無駄にしません。お寿司の表面が乾かないようにする、いわば昔のサランラップみたいに、活用したのです。

さて、おぼろ昆布に話をもどすと…漉いたばかりの昆布は、幾分黄味が強め。でも、時間の経過とともに、表面に旨みとなる粉なふいて白っぽくなります。
(左側が削りたて…)

「料理の美味しさの元となるだしを、もっと大切にしてほしいですね」と田中さん。「でも、毎回、だし作るの大変なんだもの…」とミモロ。そういう人のために、「これ!『万能だし』っていうんです」
化学調味料を一切使っていない、この店の特製だしパックです。「簡単に美味しいだしが作れますよ…」

見学して、渇いたのどを、冷たい昆布茶が潤します。「なかなか冷たい昆布茶も美味しい、熱中症予防にいいかも…」


「ほかにもいろいろおすすめの品があるんです…」とミモロの前に試食サンプルが…
 
「キャーどれも美味しそう…」と、もちろん全部試食…。

ミモロが気に入ったのは、「ひとくちいわし」というおつまみ…ポリポリとおやつ代わりにかじっています。


「あ、カツ節ご飯の花かつおも買わなくちゃ…」

「アツアツご飯に、お醤油かけた花かつおをのせるの…。それから、おぼろ昆布のお吸い物…ベランダで育ってるシシトウにもおぼろ昆布かけよう…」質素ながら、なかなか美味しそうな食事…体にもよさそう…。

「昆布食べると毛ヅヤもよくなるんだって…」と、ミモロには、欠かせないひと品です。

*「京昆布舗 田なか」清水店 京都市東山区白糸町569-12 清水坂一筋目右へ 075-551-5065 10:00~18:00 水曜休み 詳しくはホームページで。オンライショッピングも可能です。





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