monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 四月一日 孟夏の旬

2015年04月01日 | 日本古典文学-夏

 十一番
 左 旬 四月一日 殿中将
もろ人のつらなる袖に通ふなりたまふ扇の風ものとけく
(右歌略)
 左歌たまふ扇の風ものどけくと侍風情めづらしく。祝の心さへそひ侍り。右も又たけたかく詞いひしりてよろしく侍ども。猶左可為勝之由。判者申き。
左扇を臣下に給にて。題の心は侍べきにや。旬と申は天皇の政にのぞみ給儀也。是は四月一日の旬の事にて侍り。夏冬の季のあらたまる始に臣下に御酒をたび政をきこしめす也。旬には様々の儀有。内裏あたらしく造られて。はじめて南殿に出させおはしまして。政ををこなはるゝをば。新所の旬と申。位につかせ給てはじめて政にのぞみ給をば。万機の旬と申にや。此四月の旬には内侍扇を持て上達部に給へば。ひざまづきて請取作法などあるにや。
(年中行事歌合~群書類従・第六輯)

建保六年四月、中原師光朝臣始て権少外記にて平座の見参奉りけるをみて、かへりいてゝ父師重朝臣の許につかはしける 前中納言家定(ママ)
末とをき若葉の草のみとりより庭の訓の跡そたかはぬ
返し 中原師重朝臣
若草の末たのもしき陰そとも庭のをしへをしる人そしる
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

見れば氷雪のごとく齅(か)げば桐のごとし 侍女黼帳(ふちゃう)の中より伝ふ
   (贈納言)
 寛平二年四月一日、例に依り、群臣に飲を賜ふ。別に掌侍(ないしのじゃう)藤原宜子に勅して御扇を頒(わ)かち賜ふ。詩をもつて思ひを取る。
(江談抄~岩波・新日本古典文学大系32)

(長保五年四月)一日、庚申。
「公卿が参らなかった。見参簿を奏上しなかった」と云うことだ。四日に右中弁(藤原朝経)が来訪して、公卿の不参によって見参簿を奏上しない事は、先例が有るということを伝えられた。「外記が申しました」と云うことだ。
(権記〈現代語訳〉~講談社学術文庫)

(承元元年四月)一日。天晴る。夕に陰る。(略)今日、旬の蹴鞠。毎旬堪能の緇素、京より参集す。酉の時許りに、南庭に於て御鞠千に満つと云々。(略)
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

(建暦二年四月)二日。天晴る。少将白重を着し、修明・陰明両院、内裏に出仕せしむ。申の時許りに帰り来たる。仰せに依り、衣冠を着して帰参す。宗宣・棟基、白重を着して出仕と云々。近代非職の雲客、一人も更衣する者無し。無慙と謂ふべし。更衣、又習礼有るべきか。然らざれば、永く此の事有るべからず。平座、今日之を行ふと云々。更衣の御装束、同じく今日と云々。
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

二孟旬<四月。十月。>
 ワカキ上達部ハコノ日白重ヲ着。无文ノカブリ。白キコメノシタガサネ。シロキムモンノミガキバカマ。白帷。白単。マキヱノタチ。无モンノオビ。コノ日モ一ノ人トノバラハ螺鈿ノ剣ヲハキ給。代ノ始ニハ旬ヲヲコナハル。サラヌトキハヒラザトテ。出御モナクテ。仗座ニテ見参ヲソウセラル。殿上人ハコノ日出仕スレバ。老タルモ若モカナラズ白重ヲ着。御禊ノ日マデハアラタメザルニヤ。(略)
(助無智秘抄~群書類従8)

コメント (2)
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「花染」用例

2015年04月01日 | 日本国語大辞典-は行

 「花染(はなぞめ/はなそめ」という単語には、「桜の花の色に染めること。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では『新葉和歌集』(1381年)からの例が添えられていますが、さらに、180年ほどさかのぼる用例があります。

たちかふるかひこそなけれ夏衣心はもとの花そめの袖
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、上、藤原季経、夏)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、593ページ

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