枕詞「花勝見(はなかつみ)」の語釈に「①「かつ見る」にかかる。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では1320年用例を早い例として採っていますが、以下の複数のさかのぼる用例があります。
花かつみかつ見る人のこころさへあさかのぬまになるぞわびしき
(25・信明集、16)
『新編国歌大観3』角川書店、1985年、86ページ
よそねしま いはの波まを(略)あまのあまたの みるめにも はばからぬまの はなかつみ かつみるさまは まこもにて(略)
(106・散木奇歌集、第十・雑部下、1520)
『新編国歌大観3』角川書店、1985年、458ページ
さゝわけし安積の沼の花かつみかつみる夢のあくるはかなさ
宮古おもふあさかの沼の花かつみかつみるかたは三日月の空
花かつみかつみるからに波こえぬあさかの沼のさみたれの比
花かつみかつみるからのしるへかなこれや安積の沼の岩かき
夏はまた安積のぬまの花かつみかつみる色にうつる比かな
(巻第百七十八・最勝四天王院障子和歌、安積沼)
塙保己一編『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、451ページ