「鰯鍋(いわしなべ)」という単語は日本国語大辞典・第二版では方言の扱いになっていますが、南総里見八犬伝に以下の用例があるので、方言に限定しなくてよいと思います。語釈としては、「縁の絶ちがたい間柄。親族。」というぐらいの意味でしょうか。
当該箇所は房八が、自身の妻・沼藺(ぬい)の兄である=義兄の小文吾との関係を言っている箇所。
和主(わぬし)と己等(おら)は鰯鍋(いはしなべ)、内証の事には蓋をして、移香立ぬ術(すべ)もあらん」(第三十四回)
曲亭馬琴作、小池藤五郎校訂『南総里見八犬伝 二(岩波文庫)』岩波書店、1937年、206ページ