monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

しのぶ草

2011年09月06日 | 日本古典文学-和歌-秋

うす霧の空はほのかに明けそめて軒のしのぶに露ぞ見え行く(風雅和歌集)

ふる里の軒に生(お)ふてふ忍ぶ草しのびに君を恋ふるころかな(現存和歌六帖)

ひとりのみながめふるやのつまなれば人をしのぶの草ぞ生(お)ひける(古今和歌集)

ひとりしてながむるやどのつまに生ふるしのぶとだにも知らせてしかな(後拾遺和歌集)

あづま屋のをがやの軒のしのぶ草しのびもあへずしげる思ひに(千載和歌集)

荒れまさる軒のしのぶをながめつつしげくも露のかかる袖かな(源氏物語)

人知れずしのぶの草に置く露のみだれてのみや思ひ消えなむ(現存和歌六帖)

人しれずしげるおもひは軒におふるしのぶにつらき草の名ぞうき(草庵集百首和歌)

明け暮れは昔をのみぞしのぶぐさ葉ずゑの露にそでぬらしつつ(新古今和歌集)

(2009年11月5日の「しのぶ草」の記事は削除しました。)


おもひ草

2011年09月05日 | 日本古典文学-和歌-秋

咲きそむる尾花がしたの思草(おもひぐさ)おもふこころぞいやまさりなる(禅林瘀葉集)

ひにそへてかれゆく人もあるものをつれなくしげる思ひ草かな(言葉和歌集)

道のべの尾花が下のおもひ草いまさらなにのものか思はむ(続後拾遺和歌集)

いかにせむしぐるる野べのおもひ草した葉にむすぶつゆのみだれを(洞院摂政家百首)

思ひ草さらでもすゑの露の身をいかに吹きつる秋の嵐ぞ(風葉和歌集)

あさゆふの露のみふかき思ひぐさいろを見すべきことの葉もがな(正治初度百首)

(2009年11月5日の「おもひ草」の記事は削除しました。)


寄三日月恋

2011年09月03日 | 日本古典文学-和歌-秋

ふりさけて三日月みればひと目見し人のまよひきおもほゆるかも(万葉集)

飽かざりし人の眉ねによそへても名残ぞ惜しき三日月のかげ(夫木抄)

三日月のさやかに見えず雲がくれ見まくぞほしきうたてこの頃(拾遺和歌集)

知るらめやほのかに見えし三日月の空にも人を恋ひわたるとは(新続古今和歌集)

宵のまに上(うは)の空ゆく三日月の影ばかり見し人に恋ひつつ(続拾遺和歌集)

よひのまにいでて入(い)りぬる三日月のわれてもものを思ふころかな(古今和歌六帖)

ほのかなるおもかげばかりみか月のわれておもふと知らせてしかな(風雅和歌集)