monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「水屑(みくず)」用例

2016年06月07日 | 日本国語大辞典-ま行

 「水屑(みくず)」という単語は日本国語大辞典・第二版では、『曾丹集』(11C初か)からの例が早いのですが、さかのぼる用例が複数あります。

こひわびてたえずなみだのもろければつひにみくづとなをやながさん
(28・元真集、101)
『新編国歌大観 3巻』角川書店、1985年、94ページ

水底(みなそこ)にやどる月(つき)だに浮(う)かべるを沈(しづ)むや何(なに)の水屑(みくづ)なるらむ
(77・貞元二年八月十六日三条左大臣殿前栽歌合、十巻本、小一条中納言、39)
『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年、583ページ

あふまでのかたみとてこそとどめけめなみだにうかぶみくづなりけり
(4・古今和歌六帖、第五、かたみ、3136)
『新編国歌大観 2巻』角川書店、1984年、236ページ


「みなぎる」用例

2016年06月05日 | 日本国語大辞典-ま行

 「みなぎる(漲)」という単語の「①流れがはげしくて、水しぶきが立つ。」という語釈の早い例として、日本国語大辞典は1069-77年の狭衣物語の用例をあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

川のせの漲るあわの流れても人の憂き瀬は消えて恨みむ
(古今和歌六帖、第三、瀬)
『校註国歌大系9』国民図書、1929年、373ページ


「瀬際」という単語

2016年06月04日 | 日本国語大辞典-さ行

 「瀬際(せぎわ)」という単語は、日本国語大辞典・第二版には立項していませんが、以下の用例があります。

であるから、必ず流れを遡る若鮎の群れには大きな鱒がつきまとい、瀬際の揉(も)み合わせに鱒が跳躍するところには必ず若鮎の大群がいた。
(利根川の鮎)
『垢石釣り紀行(つり人ノベルズ)』佐藤垢石、つり人社、1992年

殆んど脱衣場や休憩室といふべき場所もないので、晴天の日は人は多く渓の石の頭に衣服を脱ぎ、飛沫のかゝる瀬際に立つて浴後の赤い素肌を晒すのである。
(「追憶と眼前の風景」)
『みなかみ紀行』若山牧水、書房マウンテン、1924年、99ページ


「燃え残る」という単語

2016年06月04日 | 日本国語大辞典-ま行

 「燃え残り」という単語は日本国語大辞典・第二版に立項していますが、動詞形「燃え残る」は立項していません。用例は複数あるので、以下に古い順に挙げます。

うらかせに-なひくけふりの-きえわひて-したもえのこる-あまのもしほひ
(洞院摂政家百首・1339・範宗)~日文研HPの和歌データベースより)

燃えのこる想(おもひ)のうるみひえびえと、
(「外光と印象」樅のふたもと)
北原白秋『邪宗門』易風社、1909年、168ページ

二三本燃え残った蝋燭の、
(泉鏡花「菎蒻本」)~青空文庫より

空気の吸入、排出がスムーズにできなくて、必ずバルブまわりに燃え残ったガスが残ってしまう。
『鉄馬メカニズム講座』出版社、2004年10月20日、79ページ ~Google書籍検索より


「潮葦」用例

2016年06月03日 | 日本国語大辞典-さ行

 「潮葦」という単語の早い用例として日本国語大辞典では1128年の歌合の和歌用例をあげてありますが、100年以上さかのぼる用例があります。

しほあしにまじれるくさのしりくさのみな人しりぬわがしたおもひは
(4・古今和歌六帖、第六、つれなしぐさ、3593)
『編国歌大観 第二巻 私撰集編 歌集』1984年、242ページ