
その数年前から、この映画が製作されていることを映画雑誌「スクリーン」で読んで知っていた。小学生の頃、学校の映画見学会で見た西ドイツの映画「菩提樹」と同じ題材だということも知っていたし、その後、ブロードウェイのミュージカル劇としても成功していたことも知っていた。しかし、正直なところ僕はあまり期待していなかった。それは高校生の頃に見た「ウエストサイド物語」で衝撃を受けていたので、同じロバート・ワイズ監督が、この全く異なる題材をどういう映画に仕上げるのか想像できなかったのである。
しかし、さすがは名監督、見事なエンターテイメントに仕上げていた。ロジャース&ハマーシュタインの音楽はもちろん素晴らしいし、前年に「メリー・ポピンズ」で見てファンになっていたジュリー・アンドリュースのマリアが素晴らしかった。名シーン揃いだが、中でも、マリアと大佐の結婚式で修道女たちが鉄柵越しに見送るシーンと、音楽コンクールで大佐とマリアが歌う「エーデルワイス」が次第に会場全体の大合唱となるシーンは特に大好きなシーンだ。
50周年記念版は日本語吹き替えだというし、映画館も今では70mm劇場もないので、また旧盤のDVDを借りてきて見ることにするか。

ルート・ロイヴェリック主演の「菩提樹」(1956)