「ブラタモリ 熊本城編」が放送されたのは、ちょうど2年前の今日。その2週間後に放送された「熊本 水の国編」と合わせて、熊本地震前の貴重な映像となった。その後、何度か再放送されたが、「水の国編」はともかく、「熊本城編」は見る度に残念な気がしてならない。それは、西南戦争という近代戦にも耐えた熊本城の本当の凄さが伝わっていないと思うからだ。城内の幾重にも曲げられた枡形やその上の狭間、進路をまどわす石段や暗がり通路などが紹介されていたが、それらは実戦で機能したわけではない。2ヶ月にわたる薩軍の猛攻に耐え、一兵たりとも侵入することを許さなかった堅固さこそが熊本城の凄さなのである。それは第一に熊本城の立地条件の良さにある。約9万年前に起きた「阿蘇4」と呼ばれる阿蘇カルデラ噴火の火砕流堆積によって出来た京町台地。その南端の「茶臼山」と呼ばれた段丘に築かれた熊本城。加藤清正はこの地形をうまく利用してスケールの大きな城を築き、熊本城を難攻不落の名城とした。しかし、この番組の特長でもあるはずの地形についてほとんど触れなかったのが残念である。
