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僕がブリヂストン防府工場に勤めていた1977年、工場建設の第一期工事が終わり開所式が行われた。その関連行事として久留米工場の吹奏楽団を招き、開所式および防府市公会堂での演奏会を開催した。
その演奏会の前日、吹奏楽団員の一人から悩みを聞く機会があった。彼は高校時代、吹奏楽部で活躍し、その腕をさらに磨きたいと、実業団ではトップクラスの吹奏楽団を持つブリヂストンに入社した。しかし、入社後数年経過し、このまま会社員の余技として吹奏楽を続けて行くのか、はたまたプロの音楽の世界にチャレンジするべきか悩んでいた。僕はその時、何のサジェスチョンもできなかったが、演奏会では生き生きとしていた彼らが日頃そんな悩みを抱いていることを初めて知った。それ以来、高校や中学の吹奏楽部の演奏を見る度に、彼らは卒業後、どんな希望を抱いてどんな道へ進んで行くのだろうと気になるようになった。そして一人でも多くの吹奏楽部OB・OGたちが自己実現できればいいなと願っている。