徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

「はやす」と言う語

2025-02-08 19:08:31 | 歴史
 先日放送された「鶴瓶の家族に乾杯」は山梨県丹波山村編。この村に移住していた芸人・俳優のマキタスポーツの妻に偶然出逢うというサプライズがあり、後日、マキタスポーツ夫妻が村を案内するという追加シーンも放送された。この追加シーンの中で紹介されたのが丹波山村の「お松引き」という年始の祭り。


 丹波山村の「お松引き」の風景を見ながら、だいぶ前に読んだ折口信夫の「万葉集研究」を思い出した。この中の「魂はやす行事」という條に次のような一節がある。

--私ははやすと言ふ語について、別に言うて居る。 祇園林(ギヲンバヤシ)・松囃子・林田楽(ハヤシデンガク)などのはやしが、皆山の木を伐つて、其を中心にした、祭礼・神事の牽き物であつた。 山(ヤマ)・山車(ダシ)の様な姿である。 此牽き物に随ふ人々のする楽舞がすべてはやしと言はれたのだ。 「囃し」など宛てられる意義は、遥かに遅れて出来たのである。 山の木を神事の為に伐る時に、自分霊を持つものとして、かう言うたのである。 --

 つまり、今日、祇園囃子・松囃子・囃子田楽などという「囃子」という言葉の語源は、まさにこの「お松引き」のような祭事にあったのだと言っているのである。日本文化の一原点を見るような思いがした。


かつては年始の松囃子で必ず演じられた「翁(式三番)」