型式 :ラピッドフィルム(24×24mm)レンズシャッターカメラ
レンズ :COLOR-APOTAR 35mm F2.8
焦点調整 :目測式 0.9m~無限
ファインダー :採光式ブライトフレーム
露出計 :セレン測光自動露出、マニュアル露出も可
シャッター :Agfa Paratic V B.1/30 - 1/250秒
発売:1966年
フィルム送りは、底面にあるレバーで巻き上げる方式です。
ラピッドフィルムは、コダックのフィルム簡易装填「インスタマチック126」に対抗して、1964年にアグファ社が出したダブルマガジン方式の「ラピッドシステム」用のフィルムです。
マガジンには35mm(135判)フィルムが収納され、撮影済みフィルムは巻取り側にセットされた同型のマガジンに収められ、それをカメラから取り出して現像所に持ち込んで現像します。空になったマガジンは巻取り側に移して次のフィルム収納用として再利用するという方式です。フィルムの巻き癖を利用した方式なので、あまり長尺にすることはできなかったようです。(*1) 撮影枚数は、画面サイズ24×24mmで16枚、24×36mmで12枚、24×18mmのハーフサイズで24枚撮りでした(ちなみにコダックのインスタマチックは1サイズのみ)。
ラピッドシステムを提唱したアグファ社がフィルムとカメラを製造していました。日本では、小西六写真工業と富士写真フィルムの2社がラピッドフィルムを製造し、ラピッドカメラはこの2社以外にオリンパス、キャノン、ミノルタ、リコーなどが発売していました。
ラピッドシステムは、画面サイズにバリエーションがあったり、カメラが小型化できるなどのメリットはあったものの、インスタマチックに比べるとほとんど普及せずに、わずか数年でシステムは縮小していき、本家のアグファも70年代前半にはラピッドカメラの製造をやめてしまっているようです。
アグファ、小西六、富士フィルムがラピッドフィルムの生産を中止したのちも、愛光商会(東京・港区)がネガカラーフィルム「ライトパンカラーIIラピッド」の供給を続けていましたが、1983年には生産を中止したようです。(*2)
空のマガジンがあれば、暗室で35mmフィルムを詰め替えることで、現在でも使用できるようです。
参考文献
(*1):「取枠・フィルムマガジンの変遷2」『カメラレビュー クラシックカメラ専科 55』朝日ソノラマ、2000年6月25日発行、pp.120
(*2):「現在、手に入る特殊、クラシックカメラ用フィルム一覧」『季刊カメラレビュー No.31 1983年10月号』朝日ソノラマ、1983年10月1日発行、pp.55