えらいこっちゃのいちねんせい/文・かさい まり 絵:ゆーち みえこ/アリス館/2019年
もうすぐ四月。
ピカピカの一年生は持ち物が多く、小さい体にはランドセルも重たそう。ランドセルは何年か使用することを前提にしているので、一年生には少しおおきすぎるかも。
椅子に座ってじっとするのも、窮屈かなあ。
トイレにいきたくなるとき、すぐに手をあげられるかな。
休み時間に何をしようと考えているうちに、次の授業の時間。給食を食べていると、まわりは食べ終わって、あせったり、学校でまいごになったりと、新しい生活のリズム、新しい友達など、慣れるまでは大変。
でも「えらいこっちゃ」と自分をはげまして、最初の不安をのりきれれば、なんとかなりそう。
それにしても、日本の教育制度は、あまりにも画一的で、もう少し現場の創意工夫を大事にしてほしいもの。今の時代に必要な、新しいものを生み出す力が育つのでしょうか。
さびしがりやのトッケビ/ハン・ビョンホ:作・絵 藤本朝巳・訳/平凡社/2006年
韓国の昔話にでてくるトッケビですが、これまではトッケビというだけだったのが、この絵本ではシムシという名前。トッケビに名前があったんですね。
山奥に住むトッケビのシムシミには、一緒に遊ぶ友達がいません。村に行ったら楽しいことがあるかもしれないと峠を三つこえて村へ。
シムシミをみると村人は「トッケビがでたぞ。こわい!」とにげだしてしまいます。
さびしがりやのシムシミは、ただ楽しく遊びたいだけだったのに、がっかりするシムシミ。
そんなら、こわいトッケビになってやると、動物たちをつかまえます。こいぬのあとに、あひる、あひるのあとにがちょう、ろば、うしをひきつれて得意げ。
村をまわっていると、どこからか「コケコッコー」のなきごえ。コケコッコーもつかまえようとすると、おんどりがシミシミのかたの上にとまります。
おんどりは、まっかなとさか、ひかる目ん玉、とがったくちばし、するどいかぎづめ。シミシムはびっくりして、しりもちをつき「たすけてー」とにげだそうとします。
おんどりもびっくりして、ぎゅっとつかんだり、つっついたり、ひっかいたりと大暴れ。
シミシミはつかまえていた動物をほうりだして、山奥へにげかえります。
それを知った村人は、にわとりをかきあつめて・・・。
また村にやてきたシミシミが、納屋をあけると、小屋じゅうに、にわとりが。
シミシミはまたあわてて山にかえります。
村人は、シミシムの二本の角をみてにげだしたのですが、じつは角ではなくちょんまげでした。
にくめないシミシムをみていると、見た目だけで判断しないで、といいたくなります。
別に悪さもしないのに、こわがられてしまうシミシム。どこか寂しげです。