クジラの進化/水口博也・文 小田隆・絵 木村敏之・監修/講談社/2022年
5000万年前までさかのぼって、くじらの進化をたどります。
恐竜たちが姿を消し、生き残った哺乳類のなかまのうち、あるものは海へ生活場所をひろげはじめました。5000万年前干潟や川辺でくらしはじめたのがパキケタスという動物。四本の足で川底を歩くのが、初期のクジラのなかまといいます。
このすこしあとに、おなじく四本足をもつアンプロケタス。その1000万年後には、大海原を泳ぎ回るのに相応しい体つきの巨大なクジラが誕生していました。このとき鼻の穴の位置が頭の上に移っていました。
さらに3000万年までは、南極大陸が、ほかの大陸より完全に切り離され、南極大陸を一周する海流が誕生し、海中に膨大な量のプランクトンがわきたつことに。
クジラの進化の系統樹ものせられています。
リビタリアンというクジラは、一本が30センチ以上ある歯をもち、ほかのクジラを襲って食べていたかもしれないといいます。
いま生きているクジラのなかで最大のクジラ、マッコウクジラは、水深1000メートルのダイオウイカを食べるということ。とんでもない水圧に耐える体の構造はどうなっている?
人間の歴史は、猿人までたどっても500万年前。5000万年ものあいだ進化を続けたクジラにはかないません。
生き物の進化はとほうもない年月できずかれたもの。人間の活動で大きな気候変動がおきたのは、これにくらべれば一瞬のできごと。
科学絵本は、大人にとっても素晴らしい贈り物です。