ウサギどんがふさふさのしっぽを なくしたわけ/ウサギどん キツネどん/J.C.ハリス作 八波 直則/岩波少年文庫/1953年初版
しっぽをなくす話も昔話には多い。
「リーマスじいや」がでてくるこの話は、長いふさふさのしっぽをもっていたウサギが、サカナをどっさりもったキツネにだまされてしっぽをなくすことに。
ほかのものにもみられるように、寒い寒いなかで、しっぽを水のなかにつけて、きがつくとしっぽがちぎれていたというもの。
「じぶんの知っとることにゃまちがいがはない、というような大きな顔しとる人間は、いざというときにゃたよりにならなん人間じゃて。ここにも、そんな人間がおるとみえて、ウサギに長いふさふさのしっぽがあるちゅうことをわしに言わせん。まったくの話、このことが、もしわしが夢で見たことならば、また寝て夢をとりけしてしもうとったじゃろ」
話の中に話をする人がでてくる二重構造になっているが、このリーマスじいや、皮肉っぽいことがさりげなくでてきて、大人が楽しめる。
ほかのウサギもしっぽをなくしたのと聞く男の子にリーマスじいやの答え。
「そうじゃよ。ぼっちゃん。みんなパパのまねがすきらしいて」。
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