プンク マインチャ/大塚勇三・再話 秋野亥左牟・画/福音館書店/1968年(初出1962年)
秋野さん独特の絵にひかれる方が多いようです。自然や人物を描いている線が効果的です。
ネパールの女の子プンク・マインチャは継母にいじわるされ、まずい食べ物を ほんの少しだけ食べる毎日。さらに仕事は みんなプンクにいいいつけていました。ヤギの世話をするのもプンクでした。
ヤギのなかに キツネの頭とヤギの頭をもつ不思議なメスヤギのドーン・チョーレチャがいました。ある日、プンクが いつものようにおなかをすかして、悲しそうな顔をしていると、ドーン・チョーレチャは、頭の角の中からパンをころりとだし、豆のスープもかけてくれ、食べるようにいいます。それからは、つぎの日もつぎの日も次の日もパンとスープを出して、プンクを慰めてくれました。
ところがある日、継母の子チャンパが、プンクが食べているのを見つけてしまいました。お母さんに言わないからと、わけを 話したプンク。ところが、チャンパは、ドーン・チョーレチャのことを 話してしまいます。継母は、不思議なヤギが、プンクを可愛がっていることを聞くと、ドーン・チョーレチャを ころして みんなで食べてしまおうと、きめました。
運命を悟ったドーン・チョーレチャは、自分が殺されても、肉は食べないこと、骨を集めて牧場に うめるようプンクに 話します。
つぎの日、プンクが またヤギを連れて、牧場にいくと、ドーン・チョーレチャの骨をうめたところへ大きな木が 生えていて、その木には、ヤモリーというおいしいまんじゅうが、どっさりなっていました。
プンクが ヤモリーを、つぎからつぎへ食べていると、鬼の夫婦がやってきて、ヤモリーをくれと声をかけます。プンクがヤモリーを投げてやると、泥によごれたヤモリーは 食べられないというので、プンクは ヤモリーをいっぱい持って木の下に おります。すると 鬼たちは プンクをさらって、深いほら穴へ連れていき、パンとスープを作るよう言いつけ、外にでていきました。
プンクがパンを作っているところに小さなねずみたちが でてきて パンをくれたら、いいことを おしえてあげるといいます。しかし、ねずみは すぐに いいことを おしえてくれたわけではありませんでした。もうひとつもうひとつと、プンクが 六つか七つ パンを なげてやると、ねずみはようやく話しだします。「ここは鬼のすみかで、ぐずぐずすると食べられてしまう。奥の部屋には 宝物がいっぱいあるから、それをもって逃げるがいい。ただ逃げるときは 戸のそばに 唾を吐き、その上に消し炭を おいていきなさい。」
鬼たちがかえってきて、戸を開けるようにいうと、消し炭が はいはいと返事しますが 戸は開きません。何度か繰り返し、とうとう戸を破って 中に入った鬼たちは、プンクがいないことに ひどく くやしがります。
家に帰ったプンクが、だれもみたことのない宝物を みんなにみせると、継母は、娘のチャンパにも 宝物を とってこさせようと きめます。そして あくる日、チャンパは ヤモリーの木に のぼっていましたが・・・・。
典型的な継子話ですが、キツネとヤギの頭をもったヤギ、ヤモリーというまんじゅう?がでてきたり、唾を吐き、その上に消し炭をおくというのは、これまで あまりみられませんでした。
プンクが そのまま継母と暮らしていくような終わり方も どうでしょうか。