節分の鬼/定本日本の民話11 越後の民話/未来社/1999年初版
地獄というと、鋭く尖った針の山、燃えさかる火、沸騰する湯など、恐ろしい光景が浮かびますが、昔話では閻魔さまがやってきた死者?に手こずり、やりこめられます。
恐ろしいところの象徴であるはずの地獄も、ほほえましくなるのがいかにも昔話らしい。
越後の民話のなかにある「節分の鬼」では、節分の日に、「福は外、鬼は内」といって鬼をまねきいれた爺様が、料理や酒をふるまい、そのお返しに鬼が目を望みどおりできるサイコロに変わり、そのサイコロで大もうけをした爺様が地獄に行くという話。
閻魔さまが釜ゆでにするというと、爺様にもてなしをうけた鬼があらわれ、こっそりぬるくしたお湯に入れ、なまりの煮え湯のかわりに酒を飲ませます。
次に、赤鬼が爺様を飲み込みますが、爺様はへそのすじをひっぱたり、金玉のすじを引っ張りたりして、鬼を笑わせてしまいます。
おこった閻魔さまが、娑婆へ吐き出してしまえというと、爺様は娑婆へ生きかえるという話。
バクチがでてきたり、金玉のすじを引っ張るなどの場面がでてくるので、このままでは子どもむけにはどうかとも思わせるが、以外にさらりと受け止められるかも知れません。
じつは、 節分にあわせて、覚えてみたいと何回も読み直したのですが方言にとまどっているうちに、時期が過ぎて春(笑)。
ところで、東アジアの仏教では、地獄の色は黒で表すという。餓鬼は赤、畜生は黄色、修羅は青、この三色を混ぜると地獄の黒になるという。
節分で追われる赤鬼、黄鬼、青鬼はここから来ているようです。
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