にげて さがして/ヨシタケシンスケ/赤ちゃんとママ社/2021年
もしひどいことをいわれたり、ひどいことをされたとき、するべきことは一つ。とにかく、その人からはなれること、じぶんをまもるためにそのばから にげること。にげることは はずかしいことでも わるいことでもない。足は、「やばいことから にげるため」についている。
そしてもう一つ、きみの足の役目は「きみを まもってくれるひと」「きみを わかってくれるひと」を さがして そのひとにのところへに いくため。
ひとは 動くことができる。動くかどうかを 自分できめることができる。
大手の会社で、新入社員が追い込まれて自殺したニュースがながれたとき、人生百年時代に、どうして「死」の選択しかなかったのか、会社を辞めるという選択がなかったのかと思ったことがある。不登校やひきこもりも、さまざまな原因が絡まっていて、別の道もあったのではないかとも思うが、そんなことは当事者も十分承知だったはず。
いっしょに、ゲラゲラ笑ってくれる人は 必ずいる。すぐには みつからないかもしれないけれど、さがすのをやめてしまうと、にどと であえなくなってしまう。だから、探しつづけよう、だから、動きつづけよう。
ぼくたちは、動くために いきているんだ。逃げて 探して、動いて 動いて、いつか 素敵な なにかが、素敵な だれかが、みつかる。
人は人の中でしか生活できない存在。その人も千差万別。作者が言うように「世の中にはひどい人がたくさんいる。でも、優しい人もたくさんいる。これは どっちも本当だ。」
子どもはもちろん、思春期の子や大人に訪れる分岐点のヒントになる作者の応援メッセージです。