・幸せ夫婦(子どもに贈る昔ばなし5 千葉わらい/再話・南総昔ばなし大学再話コース 小澤俊夫・編・監修/小澤昔ばなし研究所)
正直な百姓とおとなしい亭主孝行な女房。
ある日、百姓は馬を売って、その金で何か他の仕事をしたいと、馬を連れて町に行きます。
そこで子牛を連れた男とあい、乳もとれるし、肉もとれると、馬と牛を取り替えます。
家に帰る途中、今度は太ったぶたを連れた男にあい、牛とぶたをとりかえます。
ぶたから、にわとり、まんじゅうととりかえていきます。
金持ちの地主にあい、わけを聞かれると、地主はあきれかえって、きっと女房にぶんなぐられるぞといいます。
百姓は、女房はおれのやることになんでも賛成だといいます。これを聞いた地主は、女房に文句をいわれなかったら、おまえたち二人が一生食べるだけの金をやる、文句をいわれたら来年一年間ただばたらきするよういいます。
女房は文句をいうどころか、よろこび、おかげで二人は一生食べられるお金を手に入れます。
究極の夫婦の形ではありますが、この域までいけるでしょうか。
グリムの「しあわせハンス」では年季奉公がおわったハンスが、給金を馬にかえ、牝牛にかえ、豚、だちょう、砥石にかえて、最後は砥石を泉におとし、すべてをなくしてしまうという結末ですが、やっかいな荷物がすっかりなくなって、こころも軽く母親のまつ、村へとかえるハンスは、物や金に左右されるわれわれをやんわりと諭しているようにも見えます。
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