たいようまでのぼったコンドル/乾 千恵・文 秋野 亥左牟・絵/福音館書店/2010年
むかし、アンデスの山々をのぞむ高原にチャスカという、むすめがいました。
ある日、チャスカはしろいリャマを見失います。風がにわかに強くなり、雪も降ってきました。
そのとき、一人の若者が「わたしがさがしてくる」といって、山にほうへと歩いていきます。
若者は、リャマを崖の下に発見します。それから二人は一緒に過ごすようになりますが、マユクというわかものは、自分のことはくわしく話しませんでした。
チャスカはマユクを家族に紹介しますが、どこのだれだかわからず、とうさんはマユクのあとをつけます。
すると若者はコンドルの姿となって飛び去って行きます。
お父さんは、マユクにむかって、人間でないものを、むかいいれることは、わしらにはできない。もうむすめにはあわないでくれといいます。
マユクを愛していたチャスカは、悲しみのあまり病気になってしまいます。そのとき、おじいさんが「太陽の神さまのインテイが、いのちをもたらす花をもっておられる。その花があれば、むすめの病気はなおるだろう」といいます。
とうさんが「太陽までなんて、だれがいけるもんか」とさけぶと、マユクがあらわれていいます。「わたしがいきましょう」
そしてマユクは、太陽を目指して、上へ上へとのぼっていきます。
もちろん、命の花を手に入れたマユクは、はれてチャスカと、一緒にくらせることになります。
民族衣装が素敵で、アンデスの暮らしがあらわれているようでした。
コンドルが太陽に向かうとき、タカにおそわれたり、羽も体もやけこげながらも、力をふりしぼる様子に、おもわず頑張れといいたくなりました。
また太陽の神さまも、コンドルのイメージで、とてもユニークです。
NHK日曜美術館で秋野 亥左牟さんがとりあげられていました(2019.11.24)。自分の生き方を貫いた方でした。