話はめぐる/聞き手から語り手へ/ナショナル・ストーリーテリング保存育成協会・編 佐藤涼子・訳/リブリオ出版/1999年
1973年からつづくストーリーテリング・フェステバルで話されたという中の一遍。ちょと あっけにとられる話。
ある魚釣りの名人の少年が水車用の池へナマズ釣りに出かけた。一匹また一匹釣れてみんなしんでしまったとおもったら、一匹だけ まあだ息をしている。釣ってきたナマズのはらわたを抜いていったが、そのナマズは まだ息をしている。そこで少年は仕込むことにした。
ナマズに水を入れたバケツをあてがって、一日目は二時間、二日目は三時間、三日目は四時間と毎日バケツから だしてやった。そしてとうとう、水なしでも暮らせるようになって、そのナマズは、水のそばには近づかなくなった。そのナマズにホーマーという名前をつけたが、少年の行く先にはどこにもついてきた。
ある日、少年が学校に行くときにもついてきた。もうすぐというところで、少年はちちゃな川にかかった木の橋をわたった。そしてふりかえるとホーマーの姿が見えない。探してみると、橋の一枚の板が腐って、穴が開いていた。そこから川の中をのぞくと、ホーマーが溺れてしまって 浮いていた。
「黄色いリボン」「ひねくれもののエイトジョン」など、アメリカには、ヨーロッパとは別系列の話も多い。