ヨリンデとヨリンゲル/作:グリム童話 ベルナデッテ・ワッツ・絵 若木ひとみ・訳/ほるぷ出版/1982年
昔話では、若者(ヨリンゲル)と娘(ヨリンデ)がでてくると、結末で結ばれるのがほとんど。
ところが、この話では、二人は、はじめから恋人同士。
間もなく結婚することになっていましたが、ふたりきりになりたくて、二人が森の中へはいっていくと、ヨリンデが魔女によって、ヨナキウグイスにかえられてしまいます。
ヨリンゲルも魔法をかけられ、石のように動くことも、なくことも、しゃべることができなくなりますが、魔女は「こんばんわ、ツァヒエル、お月さんがかごのなかをてらしたら、はなしておやり。ツァヒエルや、ちょうどいいときをみはからってな」と呪文をかけると、ヨリンゲルの魔法はとけます。ヨリンゲルが、ヨリンデをかえしてくれるように頼んでも、いじわるく「もう、にどとヨリンデにはあえまいよ」と言い残して、姿を消すます。
魔女が、わざわざ、ヨリンゲルの魔法をとくのは昔話らしいところです。
魔女はお城に住んでいて、この城にちかずくのが若い娘だと、娘を小鳥の姿に変え、籠に閉じこめて城の部屋に連れていきます。こうした鳥かごが、もう7000個もありました。
どうすることもできなかったヨリンゲルが、ある夜、まんなかにおおきな真珠のついた赤い花をみつける夢をみます。
その花でさわったものはなにもかも、魔法とけてしまうというものでした。
ヨリンゲルは、山を越え谷をぬけ、さがしにさがして九日目に、ついにこの花を見つけます。
ヨリンゲルは、この花をもって魔女の住む城まで走り続けます。
この花で魔女にさわると、魔女は、根が生えたように、その場に釘付けになり、魔法をかけることができなくなってしまいます。
話としてはシンプルですが、ワッツの深い森にある城、白い鳥かご、魔女の絵が、この話にぴったりです。
不思議なことに、魔女は7000羽もいる小鳥に、えさをやっていますから、娘を小鳥に変えて、人の不幸を楽しんでいたのでしょうか。
昔話の成立期には、樹木や広大な草地、池や沼、川が広がり、今では想像もできない無数の鳥が飛んでいたのではないかとの思いがあります。
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