あんぱるぬゆんた/代田昇・文 宮良貴子・絵/銀河社/1976年
「あんぱる」は、マングローブの茂る河口付近の地名で、重税に耐えかえて逃げる農民を、この地で待ち受けて捕らえたことから名づけられた地名といいます。そして「ゆんた」は「読み歌」。労働や行事のとき歌われたという「沖縄・八重山古謡」で、擬人化されたカニが ぞろぞろ。
今日は、めだかがにの 生年祝。島中のカニたちが祝宴の料理や踊りを楽しみます。
わっさわっさと材料を運び、ごちそうを つくるのは のこぎりがざみ。
ごちそう もるのは そでがらっぽ。
料理をすすめるのは みはりがにが。
舞台を作るのは おきなわなじゃご。もずくがにが 大きな銅鑼を 打ちならす。
笛の 伴奏は ぜんそくがに。三味線がくわわり 踊りだす カニの群れ。踊りは 夕日が落ちても 続きます。
カニにこんなに種類がいたかと仰天。おかがに、はまがに、いとひきがに、たいわんがざみ、おきなわあなじゃご・・・。
絵から、まるでカニたちの踊りや歌が聞こえてくるようです。